奨励会に所属する16歳の山下数毅三段が、2025年5月2日に行われた第38期竜王戦5組ランキング戦準決勝で山本博志五段を破り、棋士への昇段に大きく近づきました。山下三段は英国出身、京都市在住の森信雄七段門下。藤井聡太竜王・名人と同様に小学校6年生で初段に昇段するなど、早くから将来を嘱望されてきました。
棋士昇段への道のり
棋士になるには、三段リーグで上位2位以内に入ることが原則です。しかし、次点(3位)を2回獲得することでも、フリークラスとして四段になる権利を得ることができます。山下三段は既に1回次点を獲得しており、今回の竜王戦での活躍により、新たな規定に基づき「次点1」が付与されました。
竜王戦新規定と昇段の可能性
今年4月に新設された規定では、竜王戦で三段が5組決勝に進出し、4組に昇級した場合、「次点1」が付与されます。山下三段はこの条件を満たし、既存の次点と合わせて2回となり、四段昇段の権利獲得に大きく前進しました。
山下数毅三段の対局の様子
現在、山下三段は第77回奨励会三段リーグに参加中(1勝1敗)。あと5勝を挙げて降段点を回避すれば、四段昇段の権利が確定します。対局後、山下三段は「フリークラスの件に関しても確定はしていないので、一局一局を丁寧に指していくしかない」と謙虚に語りました。
奨励会での活躍と今後の期待
山下三段は過去5回の三段リーグ全てで9勝以上を挙げるなど、安定した成績を残しています。今回の竜王戦での勝利は、その実力の高さを改めて証明するものとなりました。「ここまで勝ち上がれたことを嬉しく思いますが、やはりリーグに気を引き締めて臨んでいかないといけない」と、今後の抱負を語りました。
数学者である父の影響
山下三段の父、剛さんは京都大学数理解析研究所の講師を務める数学者です。幼少期から数学に触れてきたことが、将棋の才能開花にも影響を与えているのかもしれません。
山下数毅三段
将棋界の新たなスター候補として注目を集める山下数毅三段。今後の活躍に期待が高まります。