現代社会、特にSNS上では、自分を良く見せようとする風潮が蔓延しています。煌びやかな写真、完璧な言葉… しかし、その裏にある真実はどうなのでしょうか? そんな現代人に響く、古代ローマの格言「Esse quam videri(エッセ・クアム・ウィデーリ)」、日本語で「そう見られることより、そうであること」について深掘りします。
見かけ倒しはもう古い?ローマ時代から続く本質主義
古代ローマの歴史家サッルスティウスは、政治家カトーについて「彼は優れた人間だと思われることより、実際に優れた人間であることを望んでいた」と記しました。なんと紀元前から、見かけ倒しの問題は存在していたのですね。現代にも通じるこの格言、まさに時代を超えた真理と言えるでしょう。
alt サッルスティウスとカトーの胸像が並んで展示されているイメージ。古代ローマ時代の叡智が現代にも通じていることを象徴しています。
漫画家ヤマザキマリ氏とラテン語研究者のラテン語さんは、この格言を現代社会への警句として捉えています。特にSNSで匿名アカウントを使い、自己承認欲求を満たそうとする人々に対し、警鐘を鳴らしています。
SNS時代の落とし穴:虚像と実像のギャップ
ヤマザキ氏は、他者によって作られたイメージが、本人にとって本当の自分になってしまう危険性を指摘します。芸能人だけでなく、一般人にも起こりうるこの現象。SNSでは特に、虚像を作り上げ、演じることで本当の自分を見失ってしまう可能性があります。
ラテン語さんは、イメージも大切だが、行動で誠実さを示すことが重要だと述べています。言葉だけで飾られたイメージは脆く、真の価値は行動で示されるもの。この格言は、アメリカのノースカロライナ州のモットーにも選ばれているそうです。
SNSでの炎上体験談:匿名の勇気に潜む意外な真実
ヤマザキ氏は、自身もSNSでの誹謗中傷に悩まされた経験を語っています。DMで反論したところ、相手は一転して丁寧な態度に。匿名の影に隠れて攻撃的だった人物が、実は小心者だったというエピソードは、SNSの虚像性を象徴しています。
本当の自分を見つめ直すために
「Esse quam videri」は、現代社会を生きる私たちにとって、大切な指針となるでしょう。見かけにとらわれず、内面の充実を重視することで、真の幸福へと繋がるのではないでしょうか。自分自身を見つめ直し、実質を伴った人生を送るためのヒントとして、この格言を心に留めておきたいものです。