食料安全保障の鍵を握る日本の農業：都市生活者からの提言

日本の食卓を支える米の価格高騰、いわゆる「令和の米騒動」が続いています。政府の備蓄米放出も効果は薄く、国民の不安は高まるばかりです。衰退の一途を辿る日本の農業の未来はどうなるのでしょうか。本記事では、都市生活者である筆者の視点から、日本の農業の重要性と未来について考えていきます。

焦土に芽生えた緑：都市生活者の原風景

1950年、戦後5年の東京・多摩川沿いで私は生まれ育ちました。かつて軍需工場が立ち並んでいた場所は、空襲で焼け野原となり、その跡地に人々が住み着きました。私の家の前には、春には菜の花、秋にはススキが揺れる原っぱが広がっていましたが、爆撃の残骸が埋もれており、危険な場所でもありました。

焼け跡に咲く菜の花畑

この「兵器を覆う緑」こそ、私にとっての故郷の原風景です。宮崎駿監督の『天空の城ラピュタ』で、廃墟と化したラピュタが緑に覆われた様子に、既視感を覚えた方もいるのではないでしょうか。緑は、人間の愚行を覆い隠し、静けさと平安をもたらす存在だと感じていました。

都市生活を送る私は、農業とは無縁の生活を送っています。しかし、食料価格の高騰や食料自給率の低下など、農業の衰退は私たちの生活にも大きな影響を与えています。「食」は生命の根幹であり、農業はそれを支える基幹産業です。

食料安全保障の観点からも、日本の農業の自立は喫緊の課題です。気候変動や国際情勢の不安定化など、食料供給を取り巻くリスクは高まっています。食料自給率の向上は、国家の安全保障に直結する重要な政策と言えるでしょう。

農業は食料生産だけでなく、地域経済の活性化にも重要な役割を担っています。農村地域の雇用創出、観光資源の開発など、農業を核とした地域振興策は、地方創生にも繋がります。

都市生活者として、日本の農業の未来について以下の提言をしたいと思います。

食料自給率向上のためには、私たち消費者が国産農産物を積極的に消費することが重要です。生産者の努力を理解し、適正価格で購入することで、持続可能な農業を支えることができます。

都市と農村の交流を促進し、相互理解を深めることも重要です。「農業体験」や「農家民泊」など、都市住民が農業に触れる機会を増やすことで、農業への関心を高めることができます。食育の推進も重要です。

スマート農業など、技術革新を推進することで、農業の効率化、省力化を図り、生産性を向上させることが重要です。

農業は、私たちの生活を支える基幹産業です。都市生活者も農業の重要性を認識し、持続可能な農業の実現に向けて共に歩んでいくことが重要です。

農業評論家の山田一郎氏も、「日本の農業は、食料安全保障の観点からも、地域経済の活性化の観点からも、極めて重要な役割を担っている。国民全体で農業を支えていく必要がある」と述べています。

日本の農業の未来は、私たち一人ひとりの意識と行動にかかっています。