[令和の女性皇族]<上>
天皇陛下を支える皇族が減り、女性皇族が結婚後も皇室に残る案が与野党で議論されている。皇族として生まれた女性の活動や素顔から、その役割や令和の皇室のあり方を考える。
予習して
3月19日、横浜市磯子区で開かれた北極域研究船「みらい2」の命名・進水式。天皇、皇后両陛下の長女愛子さま(23)は、3回目の単独公務となったこの行事に、過去の式典の動画で予習をして臨まれた。船体につながれた綱をおので断ち切る角度にもこだわり、関係者から「成功」と聞いて安堵(あんど)の表情をみせられた。
「公務と仕事の両立に努めていきたい」。昨春、学習院大卒業にあたり決意を明かされた。就職先の日本赤十字社(東京)では、常勤嘱託職員として青少年赤十字の普及に取り組まれる。「日赤の仕事は忙しいが、公務に向かう車中では、ぎりぎりまで資料を読み込み、全力投球で臨まれている」と宮内庁幹部は話す。
毎日忙しく
昨年8月の終戦の日や今年1月の阪神大震災の発生日には、午前中に日赤の仕事をお住まいの皇居・御所で行い、式典をテレビで視聴して黙とうをささげてから出勤された。
歴代天皇の崩御日などには、皇居・宮中三殿で行われる祭祀(さいし)にも、積極的に参列されている。両陛下に事前に教えを請われることもあり、側近は「所作に自身の気持ちが表れると考えられているようだ」と話す。
愛子さまは、家族を愛する両陛下が国民に寄り添われる姿を見ながら成長された。幼い頃から戦争の歴史や日本文化を学び、中学校の卒業文集には「世界の平和を願って」と題した作文を寄せられた。日赤という福祉関係の仕事を選ばれたのは、皇室の役目が「国民と苦楽を共にしながら務めを果たすこと」と認識するに至ったからだ。
サポート役
昨年は地方での単独公務にも初めて臨まれた。「テレビで感じることができない足音まで聞こえ、感激でした」。昨年10月、佐賀市で国民スポーツ大会の陸上競技を観戦し、そう笑顔で語られた。佐賀陸上競技協会の末次康裕会長(82)は「言葉遣いや態度が優しく、はっきりした受け答えが印象的だった」と喜ぶ。丁寧で柔らかな物腰は、行く先々での両陛下の姿と重なる。