世界最小の独立国バチカン市国。その中心で、14億人ものカトリック教徒の頂点に立つローマ教皇を選出する儀式、コンクラーベ。2023年4月のフランシスコ教皇の死去を受け、再びその神秘のベールが上がりつつあります。今回は、コンクラーベの歴史や儀式、そして前回2013年の選挙の様子を振り返りながら、ローマ教皇選出の舞台裏に迫ります。
コンクラーベ:秘密の選挙
コンクラーベとは、ラテン語で「鍵と共に」を意味し、その名の通り外部と完全に遮断された空間で行われる秘密選挙です。13世紀、教皇空位が3年間も続いたことをきっかけに、鍵のかかった部屋で次の教皇を決める方法が確立されました。 現代のコンクラーベも、システィーナ礼拝堂を舞台に、厳格な情報統制の下で行われます。携帯電話やパソコンの使用は禁止され、電波遮断装置も設置。通訳や食事係を含む関係者全員に守秘義務が課せられるなど、徹底した秘密主義が貫かれています。
システィーナ礼拝堂に入る枢機卿たち
選挙の舞台:システィーナ礼拝堂
ミケランジェロの天井画で有名なシスティーナ礼拝堂。普段は観光客で賑わうこの場所が、コンクラーベの期間中は厳粛な選挙会場へと変貌します。枢機卿たちは、一人ずつ聖書に手を置き、秘密厳守を誓います。そして、ローマ教皇庁儀典長の「エクストラ・オムネス(部外者は退出せよ)」の号令と共に、扉は閉じられ、鍵がかけられます。外界との繋がりは完全に断たれ、まさに「密室」状態での選挙が始まります。
2013年のコンクラーベ:異例の展開
2013年のコンクラーベは、約600年ぶりとなるベネディクト16世の生前退位という異例の事態を受けて行われました。115人の枢機卿による投票は5回に及び、最終的に選出されたのは、事前の予想を覆す「ダークホース」的存在、アルゼンチン出身のホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿でした。
新教皇選出を告げる白煙
新教皇誕生:フランシスコ教皇
システィーナ礼拝堂の煙突から白い煙が上がり、新教皇誕生を告げると、サンピエトロ広場に集まった群衆は歓喜に沸きました。新教皇フランシスコは、質素で謙虚な姿勢、そして社会正義を訴えるメッセージで世界中の人々の心を掴みました。
サンピエトロ広場に集まった人々
次の教皇は?
フランシスコ教皇の死去を受け、再び世界中の注目がバチカンに集まっています。 現代社会における教会の役割、そして世界平和への貢献など、次期教皇に課せられた使命は重大です。 今後のコンクラーベの行方から目が離せません。