米国カリフォルニア州タホ湖周辺の住民が、ペスト検査で陽性反応を示したと州保健当局が発表しました。この住民はサウスレイクタホ地域でのキャンプ中に、感染したノミに刺されて伝染した可能性が高いと見られています。これは、米国、特に西部地域において自然に存在するペストのリスクと、その予防策の重要性を改めて浮き彫りにするニュースです。
タホ湖周辺で発生したペスト感染の状況
エルドラド郡の当局が8月19日に公表した情報によると、感染が確認された住民は現在自宅療養中で、医療専門家による治療を受けています。エルドラド郡公衆衛生局のカイル・フリフレット局長代理は、「ペスト菌はエルドラド郡の標高が高い地域を含むカリフォルニア州全域に自然に生息している」と述べ、特に野生の齧歯類が生息する場所での散歩、ハイキング、キャンプなどの野外活動時には、個人とペットの両方を守るための予防策を講じることの重要性を強調しました。
ノミを介して人に感染するペスト菌（エルシニア・ペスティス）の概念図。カリフォルニア州で確認されたペスト感染のメカニズムを示す。
ペストとは？症状、感染経路、治療法
ペストは「エルシニア・ペスティス」という細菌によって引き起こされる感染症です。主な感染経路は、感染したノミに刺されること、または感染した動物（特にげっ歯類など）との直接的な接触です。米疾病対策センター（CDC）によると、通常、ペスト菌にさらされてから2週間以内に症状が現れます。典型的な症状には、高熱、悪寒、全身の倦怠感、そしてリンパ節の腫れ（腺ペスト）などがあります。早期に発見されれば、一般的な抗生物質による治療で回復が可能です。
米国におけるペストの発生傾向と監視体制
CDCの統計によれば、米国では年間平均で約7件のペスト患者が報告されています。これらの症例のほとんどは、米国西部の農村地域で発生する傾向が見られます。カリフォルニア州公衆衛生局は、ペストの発生状況を監視するため、日常的に齧歯類のモニタリングを実施しています。今年に入ってからも、タホ盆地では4件の齧歯類における陽性例が確認されています。エルドラド郡当局によると、この地域で人間のペスト感染が最後に確認されたのは2020年のことでした。
ペスト感染を避けるための予防策
CDCは、ペスト感染のリスクを減らすための具体的な予防策を推奨しています。これには、齧歯類の生息地となりやすい雑木林、岩の山、廃棄物などを除去して、居住空間からげっ歯類を遠ざけること、感染の可能性がある地域ではディートなどの成分を含む虫よけを使用すること、ペットに適切なノミ駆除製品を使用すること、そしてペスト流行地域でペットを自由に動き回らせないこと、さらにはペットを自分のベッドで寝かせないことが含まれます。これらの対策を講じることで、感染リスクを大幅に低減することができます。
まとめ：正しい知識と予防でリスクを低減
今回カリフォルニア州で確認されたペスト感染は、一般的な病気ではないものの、特定の地域においては注意が必要な感染症であることを示しています。ペストは自然界に存在し、主にノミを介して人間に感染する可能性があるため、特に山間部や野生動物が多い地域での活動時には注意が必要です。正確な情報に基づいた知識を持ち、CDCが推奨するような予防策を適切に実行することで、感染のリスクを効果的に低減し、安全に生活することができます。
