首都は3日で陥落できるはずが…「プーチンの大誤算」を招いたゼレンスキーの「一言」とは?


<ウクライナ国民からは今も強い支持を集めるゼレンスキー大統領だが、トランプ米大統領の「ロシアびいき」で最大のピンチに>【グレン・カール(元CIA諜報員)】

だがウクライナ人の多くは欧米志向だ。2004年のオレンジ革命では大統領選に対するロシアの干渉に抗議し、数百万人がデモを行った。13年のマイダン革命ではEUとの協定締結をほごにした親ロ派のビクトル・ヤヌコビッチ大統領を国外に追い出した。

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業を煮やしたロシアは14年にクリミアを占領し、22年に全面侵攻に踏み切った。だが3年後の今もウクライナの欧米志向は変わらず、国のリーダーに期待を寄せている。

「私に必要なのは弾薬であり、(退避用の)乗り物ではない」。侵攻当時ウォロディミル・ゼレンスキー大統領はこの一言で国民を奮い立たせた。

首都キーウは3日で陥落するとロシアのウラジーミル・プーチン大統領は考え、アメリカもゼレンスキーに退避を勧めた。だが彼は退避を拒否し、軍を団結させて反撃。ウィンストン・チャーチルに比肩する指導者となった。

そのゼレンスキーが最大の試練に直面している。ロシアの「盟友」ドナルド・トランプ米大統領に、国が滅ぼされるかもしれないのだ。

■トランプに頼れないゼレンスキーが頼る相手

トランプは自分の思いどおりにならない人間に怒りを爆発させる性格だ。19年には政敵ジョー・バイデンに関する情報をゼレンスキーに求め、断られた。彼の率直でこびない性格も、いら立ちの種だ。

果たして2月28日、トランプは大統領執務室で「取引に応じなければ手を引く」とゼレンスキーを恫喝。1カ月後、ゼレンスキーは黒海での停戦合意に応じた。

西欧がアメリカに代わり支援してくれることを、ウクライナは祈るしかない。ロシアびいきの和平交渉とトランプとの不和を思えば、ゼレンスキーの地位も安泰ではない。

だがどんな結果が待つにせよ、彼がいなければ、今頃ウクライナはロシア帝国に吸収されていただろう。



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