2024年夏にスーパーの店頭からコメが消え、令和の米騒動と騒がれた。農林水産省は2025年3月から政府備蓄米の放出を始めたが、コメの価格は下がるどころか今も高止まりしている。
■コメ価格の鎮静化には時間かかる
農水省によると、2025年3月に落札された備蓄米のうち、小売店や外食事業者への流通量はわずか4192トン(4月13日時点)で、放出量の1.97%にとどまっていた。3月に落札された計2回の放出量は21万2000トンだったが、備蓄米を精米工場で処理するため、小売店などに届くまで時間を要しているという。
政府備蓄米の放出が3月中旬に始まり約1か月半が経過したが、思うように流通しないのは、備蓄米であることを表示するパッケージ用の袋や輸送用のトラックの準備に時間がかかっていることも理由という。
いずれにせよ、農水省や農協など集荷業者の対応は遅れている。農水省は7月ごろまで毎月、備蓄米の放出を行い、コメの価格の適正化を図る方針だ。しかし、コメをめぐる農水省の対応はこれまで後手に回っている。今後も備蓄米が流通し、価格が鎮静化するまでには時間がかかりそうだ。
1人あたりの年間コメ消費量はピーク時から半減
このようにコメの高値が続く現状では、若者を中心に日本人のコメ離れが加速することだろう。
そもそも、日本では長期的にコメの需要が低下している。農水省によると、コメの国民1人あたりの年間消費量は、ピークだった1962年度の118.3キロから2020年度には50.8キロと、半分以下に減っている。 これに人口減少が加わるため、主食用米の年間需要は1996年度の944万トンから、近年は年間約700万トン前後まで急速に減少している。
約20年で約25%の減少なので、この傾向が続けば、2045年にコメの需要は年間500万トン前後に縮むことだろう。
三菱総合研究所が2月の東京23区の小売物価統計調査を用い、茶わん1杯(150グラム)のごはんと食パン1枚の価格を試算したところ、コシヒカリの茶わん1杯の価格は約57円となり、4枚切り食パン1枚の約48円、6枚切り食パン1枚の約32円をいずれも上回った。