最大11日間という大型連休が終わり、国会での与野党の攻防は終盤戦を迎える。そうした状況下、石破茂首相の表情にはなぜか余裕と自信がにじんでいた。
石破首相の連休日程を見ると、4月27〜30日はベトナム、フィリピンを歴訪。5月1〜2日は首相官邸に陣取って、「トランプ関税」に関する交渉で訪米中の赤沢亮正・経済再生担当相と連絡を取り合うなど、ほぼ終日、公務に専念した。
今年の大型連休も「永田町の風物詩」とされる閣僚らの“外遊ラッシュ”が目立った。石破首相に加えて、閣僚19人のうち14人が海外出張にくり出し、さらに与野党議員の公費や私費での外遊も例年どおりに行われた。
こうした閣僚外遊などに対する苦言も相次いだ。国会での与野党攻防の調整役を務める立憲民主党の笠浩史・国会対策委員長は「物価高対策やトランプ関税に専念すべきだ」と口をとがらせたほか、与党内でも公明党の山口那津男元代表が「過半数の閣僚が国内にとどまるべきだ」と石破内閣への不満を隠さなかった。
■連休後半の静養にも批判の声
そして、石破首相は5月3〜6日に都内の高級ホテルにこもり、趣味の読書などを楽しみつつ静養した。この「高級ホテル静養」に対しても批判の声が相次いだ。
セキュリティー確保の点から、宿泊する部屋は当然スイートルームとなるが、ネット上では「庶民派を売り物にしている石破首相の金銭感覚を疑う」などの書き込みが目立った。その背後には、3月に発覚して国民的な批判にさらされた「新人議員への商品券配布」騒ぎがあることは間違いない。
連休中の石破首相の一連の行動へのさまざまな批判・不満も踏まえて、5月7日から始まった終盤国会における与野党攻防の最大の焦点は、やはり立憲民主党の内閣不信任決議案提出の可能性とその結末となる。
不信任案について最終判断を下す立場となる立憲民主党の野田佳彦代表は、メディアとの質疑や番組出演で「総合的判断が必要」と繰り返している。その理由について、野田氏は①アメリカとの関税交渉の展開次第だが、国難への対応中なら不信任で内閣の足を引っ張ることはできない、②他野党は出せというが、出したら必ず賛成するかどうかが不透明、などとしている。
政界関係者には「総合的判断というのは、結局、不信任案の提出を見送るサイン」との見方が広がる。次期参院選での躍進が予想される国民民主党の玉木雄一郎代表は「今回はもし野党がまとまれば(不信任案が)通り、そうなると憲法の規定上、内閣総辞職か解散総選挙ということになる。そのときに野党としてどうするのかを野党第1党がしっかり各党に示すべきだ」と注文をつける。それでも、野田氏は明言を避けている。