今後10年で最も成長が期待できる“アニメ市場”をご存じでしょうか。
優れた技術力で人気作品を世界に届ける日本や、10億人を超える人口が需要を生み出す中国など、さまざまな選択肢があがると思います。そんな中、業界関係者の間で現在にわかに注目を集めているのが、“中東・アラブ地域”です。
【写真を見る】東京ビッグサイトで開催された「AnimeJapan」の様子
中東・アラブ地域といえば、砂漠や石油などの印象が強く、アニメのイメージは薄いかもしれません。しかし、2010年代後半にサウジアラビアが石油依存からの脱却を目指してエンターテインメント産業の育成に注力しはじめたことなどにより、近年アニメビジネスが急速に活発化しています。
■アニメの祭典でも中東・アラブ地域の隆盛を感じた
その熱狂ぶりは、3月下旬に東京ビッグサイトで開催されたアニメの祭典「AnimeJapan」でも、ひしひしと伝わってきました。
アニメジャパンには、アニプレックスや東映アニメーション、中国の動画配信大手bilibiliなど、国内外の有力なエンタメ企業が参加していましたが、そんな中で存在感を放っていたのがアニメ・漫画・ゲームの制/製作・配給会社のマンガプロダクションズです。
同社はサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が、若者の支援などを目的に設立したミスク財団の子会社です。2011年にサウジアラビアの首都・リヤドで設立され、現在は虎の門に東京オフィスも構えています。アニメジャパンのビジネスデイに開かれたブカーリ・イサムCEO(最高経営責任者)によるセミナーからは、中東・アラブ地域におけるアニメ産業の盛り上がりがうかがえました。
セミナーは、昨年11月に東京オペラシティで行われたサウジアラビア国立オーケストラのコンサート映像から始まりました。映像内でオーケストラが歌唱・演奏していたのは、なんと「進撃の巨人」をはじめとする日本のアニメ主題歌たち。伝統衣装をまとったサウジの国立オーケストラがアニソンを演奏する姿に驚くとともに、映像からはサウジアラビアで日本のアニメがどれほど親しまれてきたのかが伝わってきました。