沖縄戦で犠牲になった学徒隊の生徒らを慰霊する「ひめゆりの塔」(沖縄県糸満市)について、自民党の西田昌司参院議員が「ひどい」「歴史の書き換え」などと発言した問題は、自民党内部からも批判が広がっている。『「“右翼”雑誌」の舞台裏』(星海社)の著者で編集者の梶原麻衣子さんに、その心理や歴史観を解説してもらった。
【写真】「あの『極右』雑誌の?」元編集者は丁寧で真摯な姿勢だった
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梶原麻衣子さん(44)は2005年から約13年間、花田紀凱編集長の「月刊WiLL」と「月刊Hanada」に所属した編集者・ライターだ。この経歴だけを見ると、「あの『極右』雑誌の?」とドン引きしそうになるが、昨年11月に発刊された著書『「“右翼”雑誌」の舞台裏』を読めば、単なる「右翼」ではないことが分かる。
筆者は同著が発刊される直前、都内で梶原さんと直接話す機会があった。元沖縄タイムス記者の筆者が、知り合いの大学・メディア関係者らでつくる小グループの勉強会に招かれ、「普天間・辺野古」問題の経緯について講話したときだった。
梶原さんは編集者として「沖縄についても右方面から扱ってきた経緯があります」と明かしたうえで、「沖縄の状況について学ばねばならないことの多さを実感しました」と吐露した。その丁寧で真摯な姿勢は、その後のメールのやりとりでも印象に残った。
詳細は省くが、良い面・悪い面を含め「右翼」や「保守派」を客観的に捉えつつ、沖縄と本土の分断を憂う、そんな保守本来の矜持を持つ人だと感じた。もちろん、筆者とは考えが違うことも多い。それは承知の上で、今回の西田議員の発言について梶原さんはどう感じているのか聞きたくなった。というより、理解が困難なことがあまりに多いため、「解説」をお願いしたくなった面も少なからずある。
梶原さんは筆者が提示した質問に答える前に、「前提としての私の考え」がある、と前置きした。一つは「西田議員の発言とその後の対応は、あまりに言葉が足りないために、結果として沖縄の人々と本土の保守派の乖離を招いただけに終わってしまうという点で問題あり」だということ。
もう一つは「西田議員にひめゆり部隊の悲劇や、ひめゆりの塔の意義それ自体を否定したいという動機はない(薄い)のではないかと思いたいが、説明が圧倒的に足りないためにそうした印象を持たれる事態に至っている」という見方だ。
いずれも現状を悲嘆せざるを得ないという受け止めだと伝わった。