「年収800万以上、身長175cm以上、甘えられる包容力も…」婚活女性(30代後半)が陥ったアプリの落とし穴《マッチングアプリで増長する「自我理想」》


 マッチングアプリのメリット・デメリットや利用者の実態を綴った『マッチングアプリ依存症』(内外出版社)より、マッチングアプリの注意点をお届けする。(同書より一部抜粋して再構成)【全4回の第2回。第1回を読む】

 * * *
 マッチングアプリを使用している人を見て、「注意した方がいい」と思ったことがあります。それは、自分の理想をどんどん上げてしまうということです。

 これが「仕事や自分のスキル達成のために理想を高く掲げる」ならいいのでしょうが、「もっといい人がいるはず」と理想を上げ続けてしまう行為は、いい交際にはつながらないといわざるを得ません。

 30代後半の女性の話です。これまでアプリで5人の男性とお付き合いしてきたものの、「未だ納得できる相手には出会えていない」と言います。

「付き合っているときも、ついアプリを開いて、『この人の方がいいかも!』と探してしまう自分がいます」と話す彼女は、ハデでも地味でもない、いわゆる常識的ないで立ちの団体職員でした。

 その彼女の理想はといえば、「年収は800万以上、身長は175cm以上、甘えたいタイプなので優しくて包容力のある男性」と言います。

「そういう人、全男性の何パーセントだと思いますか?」と思わず聞いてしまいました。

「私はもっと上のレベルの人と付き合えるはず」

 現実には届かない自分の理想を追い求める。これは精神分析の世界では「自我理想の追求」と呼ばれます。自分自身のことや自分が置かれている現実が見えなくなり、

「自分はこうなるべき存在だ」
「本当の自分はこんなものではない、もっとすばらしいはずだ」

 などと思い、だんだん自分で自分のハードルを上げてしまうのです。



Source link