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17週連続で上がるコメの価格。背景の一つに、農家の減少による「コメ不足」があるとされています。農協に頼らず、自ら販路を広げ、“億超え”の売り上げがある山形県の農家は、今の状況をどのようにみているのでしょうか。
【写真をみる】「夢のような世界が去年から始まっている」稼ぐ農家が見たコメ不足
■農協に頼らず→“直売”で億越え
都内の老舗料亭「なだ万」。コメを土鍋で炊きあげるなど、こだわり抜いた日本料理を提供しています。欠かせないコメは農家から直接仕入れています。
なだ万 高輪プライム 鈴木晴智 調理長
「27、8年前になるかと思うんですけど、黒澤さんのお米と出会いました。その時に本当にこんなうまい米があるのかって。ふっくらでモチモチ感があるのが特徴。うまみ・甘みが強いので、使い勝手の良いお米だなと思ってます」
東京から250キロ余りの山形県・南陽市にある、なだ万の仕入先「黒澤ファーム」。東京ドーム約6個分の田んぼで、農薬を極力使わずコメを栽培しています。重機を使って田んぼの周囲に壁をつくる「あぜぬり」に追われていました。
黒澤ファーム 黒澤信彦 代表取締役
「夢のような世界が去年から始まっている。米の値段が上がって足りないということは作れば勝手に売れる」
こう話す黒澤さんは、460年以上続く農家の21代目。今の売り上げは“億”を超えています。転機となったのは30年前の“決断”でした。
黒澤ファーム 黒澤信彦 代表取締役
「農協出荷を止めようと思って直売を始めた。うちの父は農協の理事をやっていて(コメは)『全量農協へ』というシールを貼りながら、息子はそれをやめた」
農協に頼らず、自ら販売することにしたのです。
農家は米を農協など集荷業者に出荷し、卸売業者、スーパーなど小売業者を経て消費者に渡るのが一般的です。
農家は米を刈り取る前に、農協から概算金を受け取れるため、収支の見通しが立てやすく、生産に専念できるといった利点があります。
しかし、黒沢さんは不満がありました。
黒澤信彦 代表取締役
「自分がいくら美味しいお米をつくろうと頑張っても、農協に出荷したら80点の米でも60点の米でも全部同じ倉庫に入る。最低でも1キロ500円で売りたかった」