子どもに多い7つの「心の病」とその「サイン」
児童生徒の不登校や自殺が過去最多となっているが、その背景の1つには「心の病」がある。ゴールデンウィーク(以下、GW)明けはメンタルの調子を崩す子どもが多く、教員や保護者はその兆候を適切にキャッチして対応したい。カリフォルニア州公認心理カウンセラーの荒川龍也氏に、子どもが発症する主な心の病とそのサインについて解説してもらった。
【写真を見る】子どもの心の病のサインが見られた際の「学校を休ませる基準は明白」と語る、カリフォルニア州公認心理カウンセラーの荒川龍也氏
「心の病」で苦しむのは、大人だけではありません。まずは、子どもが発症する主な心の病とそのサインについて見ていきましょう。
【うつ病】
「うつ病」と聞くと、まったく動けなくなってしまう状態をイメージされるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。とくに子どもにおいて注意すべき症状は、イライラです。いつもより落ち込んでいる状態が続くだけでなく、イライラしやすいときにはうつ病の可能性があります。思春期ですと見分けにくいですが、イライラが反抗的な態度や怒りっぽさとして表れることも多々あります。
また、極度に自信がない、普段以上に罪悪感を抱いてしまうといった状態もうつ病を示唆していることがあります。やる気が出ないのもサインの1つで、成績や部活等のパフォーマンスに影響が出ていることも少なくありません。
さらに、食欲減退・増加、不眠・寝不足・過眠も要注意。死について質問してくるなど、希死念慮を感じさせる場合も気を付けましょう。
【持続性うつ障害】
また、「持続性うつ病」も子どもに時折見られます。劇的に落ち込んでいるわけでも、やる気がないわけでもないけれど、元気なときと比べると落ち込んでいるように見える状態が1年以上続く場合、この診断が下されます。例えるなら、“低空飛行のうつ病”です。日常生活はある程度できるため、通常のうつ病と判断しにくい点が厄介です。
【不安障害 】
不安や心配事にとらわれ、それ以外のことを考えるのが難しい、ほかのことに手が付けられない、さまざまなことに集中できないなど、生活に支障をきたしてしまうのが「不安障害」。うつ病と同じく成績や部活のパフォーマンスに影響が出ることも多々あります。考えすぎてしまっている状態が続いているため、睡眠にも問題が発生しやすいです。また、人間の体は不安になりすぎると胃酸が強く出てしまうので、原因不明の腹痛がサインとして表れることも多いです。
【適応障害】
「適応障害」は、環境等の何らかの変化にうまく適応できずに生活に支障をきたしてしまう心の病です。さまざまな型があり、子どもによく見られるのは、「不安型」「うつ型」「不安とうつ型」の3つ。これらは、前述したうつ病および不安障害と同じサインが見られます。
【反抗性挑戦性障害】
生活に支障をきたしてしまうほどの反抗的な態度を大人に示すのが、「反抗性挑戦性障害」。うつ病と区別がつきにくいですが、イライラしやすかったり怒りっぽかったりすることも特徴です。「年頃の反抗期」と軽視されがちですが、うつ病や不安障害等を併発していることが非常に多く、注意が必要です。
【分離不安】
「分離不安」は、とくに幼稚園から低学年の子どもが発症します。文字通り保護者と離れることを非常に怖がるのが特徴で、保護者に何か嫌なことが起こる夢を見るケースもよくあります。多くの場合、保護者が子離れに対して極度な不安を感じてしまっていることが影響しています。
【パニック障害】
「パニック障害」は、何らかの出来事が引き金となり、過呼吸、手の震え、極度の汗、動悸が速くなる等の症状を何度も経験し、結果として生活に支障をきたしてしまう心の病です。学校で嫌なことがあった後に学校のことを考えただけでパニックになる等、問題の原因について考えるだけでパニックになることもあります。原因の根本を極度に避けようとするのも、よくあるサインです。
上記のサインが見られる場合、自己判断はせず、心理カウンセラーや心療内科医・精神科医に相談することが望ましいです。