孤立死の4人に1人が働く現役世代の衝撃 「死に際に誰かしらそばにいたら…」高齢者より切実な声


「お元気ですか?」

 メッセージの下に表示された「OK」をタップする。

【表】孤立死した年齢別の人数(2024年)はこちら

 東京都内で暮らす羽中田(はちゅうだ) 真弓さん(38)が利用しているのはNPO法人「エンリッチ」(東京都江戸川区)が無料で提供する「見守りサービス」。LINEで定期的に安否確認のメッセージを受け取り、「OK」をタップし無事を報告する。反応がなければ、利用者本人に直接電話が来たり、親族らに通知が届いたりする。孤独死をなくすためのサービスだ。

 羽中田さんは、高校卒業後からコンビニでアルバイトとして働く。現在の月収は手取りで約23万円。年上の彼もいて、特に生活に困っているわけではない。健康状態も良好だ。

 それなのに、ふとした瞬間、孤独死が頭をよぎる。

「想像すると、どうにもならない悲しい気持ちがこみ上げてきて、苦しくて、泣きそうになってしまいます」(羽中田さん)

■明日はわが身

 心の居場所がない、いわゆる「機能不全家族」に育った。幼い頃に両親が離婚した。離婚後の母は荒れ、1日おきに飲みに行っていた。「どこにも行かないでね」と泣きながら引き留めると、母は「行かないよ」と答えるが、結局、羽中田さんを置いて出かけた。母親を捜して、夜の街をさまよった。孤独は日常の延長線上にあった。

 28歳で親元を離れ、一人暮らしを始めた。そんな時、同年代の男性が熱中症で孤独死した記事をネットで読んだ。

「明日はわが身かも」(同)

 孤独死すると、遺体が腐敗して部屋が汚れる、周囲に迷惑をかけるのは最小限にしたい。ネットで「見守りサービス」を見つけ、登録した。元気なうちに後見人を指定して契約を交わしておく「任意後見制度」についても勉強をした。

 けれど、どれだけ準備を整えても、孤独死の不安は拭えないという。

「死に際に、誰かしらそばにいて看取ってくれたら、とても幸せだろうと感じます。でも、私にはそういうことはないと思います」(同)



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