万博否定派「古市憲寿」の大阪万博体験記 「近隣の人なら行く価値アリだが、USJほど面白くはない」


【写真を見る】“万博否定派”古市憲寿が「見応えはあった」と評価するスポットとは?

 パビリオン内部はレベルの差が激しい。公民館の展示レベルだったり、「これだけしかないの?」という規模のものもあった。あるパビリオンを取材した時のこと。すでにメインの展示会場の中にいたのに、スケールが小さいと思ったのか、アナウンサーの青木源太くんが「メインの展示はどこなんですか」と無邪気に聞いて場を凍らせていた。

 報じられている通り、屋根は少ない。「真夏が心配ですね」とのんきに話していたら開幕日は途中から横殴りの大雨となった。予約なしで入れるパビリオンは長蛇の列。気楽に入れるカフェなどが少ないのも気になった。多くの飲食店は高価格だがコンビニだけは市内と値段が変わらない。そのためか、セブン-イレブンなんて入るだけで30分以上かかったようだ。

 世界各国の人と一堂に会せるのはいい。北欧館でノルウェーのチョコレートがないのかとしつこく聞いていたら、わざわざ入荷してくれることになった。パレスチナブースでは「イスラエルで止められたため空っぽの展示ボックス」が現代アートのように注目を集めていた。

 総合的に考えて近隣の人なら行く価値があると思う。対岸のユニバーサル・スタジオ・ジャパンや、Nissyのドームライブほど面白くはないが、その分チケットは安い。平日券6000円、休日券7500円、夜間券3700円は妥当だろう。

 だが本当に大事なのは万博閉幕後だ。この30年間、万博やオリンピックといったメガイベントを開催する際の基本中の基本なのだが、目的はお祭りそのものではない。どのようなレガシーを残すかである。しかし大阪万博では、せっか造ったリングもパビリオンも、ほぼ全てが壊される。たった半年のイベントのためにこんな無駄は許されるのか。25年後や50年後、この万博はどう懐古されるのだろうか。

「週刊新潮」2025年5月1・8日号 掲載

新潮社



Source link