住民基本台帳(住民登録)と国勢調査の人口差率が、外国人は日本人の6倍にのぼることが、自民党の会合へ提出された研究資料からわかった。国民健康保険の加入は住民登録地が基本となるため、外国人の国保の未納率が日本人と比べて高い一因となっているという。資料を提出した国際医療福祉大大学院の島崎謙治教授は「適正な住所管理のため自治体と入管の連携強化が必要」と提言している。
国保の未納率をめぐっては、厚生労働省が先月22日、データのある150市区町村の平均で日本人を含めた全体が7%なのに対し、外国人の未納率は37%にのぼるとの集計結果を同会合で初めて示している。
研究資料は、今月9日に開かれた自民党の会合「外国人材等に関する特別委員会・在留外国人に係る医療ワーキンググループ」で示された。
研究は、令和2年の国勢調査と住民基本台帳の人口差を日本人と外国人で比較。日本人の国勢調査と住民登録の人口差が0.45%だったのに対し、外国人は2.85%と6倍以上にのぼっていた。
差が出る理由は、国勢調査が実際に居住実態を調査した人口なのに対し、住民登録は届け出上の人口であり、たとえば住民票を残したまま出国すると国勢調査ではカウントされないためだ。
島崎教授は「6倍という数字は日本全体での比較であり、市区町村ごとにみると国内での転居でも国勢調査と住民登録の人口差が生じる」と指摘。これは日本人でもあり、たとえば学生が大都市へ進学したり、高齢者が施設へ入所したりした際に住民票を移さない場合、差が出てしまうという。
外国人の場合は、仕事などによる転出入が多いが、転居が届け出られず住民登録が居住実態と異なることが少なくない。このため、滞納者への督促など国保の適正運営に支障が生じる一因となっているとみられる。
島崎教授は「世界に冠たる国民皆保険制度を維持するために、外国人も差別なく扱うという国保の原則は尊重しつつ、適正な住所や外国人の在留資格の管理が求められる。そのためには市区町村と入管の連携強化が必要だ」と提言している。