今回の参院選で1議席を獲得し、国政政党として新たな一歩を踏み出した「チームみらい」。AIエンジニアという異色の経歴を持つ党首・安野貴博氏(34)が率いるこの新党は、「テクノロジーで政治を変える」というスローガンを掲げ、従来の政党とは一線を画すユニークな政策構想を打ち出してきました。政党交付金の活用や永田町でのエンジニアチーム創設など、その独自のアプローチは注目を集め、得票率2パーセント超で政党要件を満たし、交付金受給の条件もクリアしています。
幹事長・高山聡史氏の政策説明と浮き彫りになった課題
「チームみらい」を安野代表と共に支えるのが、幹事長を務める高山聡史氏(38)です。彼もまた、名門・灘高校から慶應義塾大学へと進み、大手外資系コンサルティング会社や複数のAIスタートアップ企業で開発業務に携わるなど、輝かしい経歴の持ち主です。しかし、その高山氏が最近のメディア出演で、政策に関する説明において一部で「弱点」を露呈し、波紋を広げました。
参院選で1議席を獲得し国政政党となった「チームみらい」の活動風景
7月26日に経済系メディア「ReHacQ」のYouTube生配信に出演した高山氏は、社会学者の西田亮介氏(42)との対談の中で、「チームみらいは社会保険料を引き下げる」方針を表明しました。これに対し、西田氏が「社会保険料の何を、いくら引き下げるのか」と詳細を問うと、高山氏は「社会保険料は……後期高齢者の支援金相当分」と回答。さらに西田氏が深掘りすると、高山氏は言葉を詰まらせながら、「社会保険料の〇兆円分、どういうバランスで引き下げるかという話をしていて、我々は約7兆円分の負担を引き下げようと言っていました」と説明しました。
この説明に西田氏は納得せず、同席していた元官僚の宇佐美典也氏(43)が「社会保険ではなく、社会保障ですよね?予算ですよね」と確認を求めると、高山氏は「予算のところ」と応じました。しかし、西田氏が再び「では社会保障費を7兆円削るのか。一般会計の予算の中の社会保障費を削るのであって、社会保障の話をされているわけではない?」と質問すると、高山氏は苦笑いを浮かべるのみで明確な回答は得られませんでした。西田氏は、国会の一般会計に含まれる社会保障関連予算と社会保険料との混同を指摘し、改めて説明を促しましたが、高山氏はあくまで「社会保険料の方ですね」と主張し、議論は最後までかみ合いませんでした。
経済系メディアの生配信で政策説明に苦慮する「チームみらい」幹事長の高山聡史氏
視聴者からの懸念と「チームみらい」への期待
現役世代の社会保険料負担軽減を公約に掲げる「チームみらい」の幹事長でありながら、政策説明においてしどろもどろになる高山氏に対し、多くの視聴者から心配の声が寄せられました。インターネット上では、「詰めきれてない事は勉強しますでいいと思う。だんだん大丈夫か?高山さん、、、と不安になった」「ライブで表に出てきていいレベルの人間じゃないと感じました。これで幹事長って」「私、チームみらいの完璧なマニフェストを読んで惚れたのですが、マニフェストが完璧なだけだったのかよ」といった厳しい意見が相次ぎました。また、「みらいに選挙区も比例も入れたから、揚げ足取りやめてよーと思ってたけど、だいぶ初歩的なところが勉強不足でガッカリ」「高山さん、これから勉強していくでいいと思うけど、素直に『勉強不足です。』っていう謙虚さが見たいなーと思った」など、期待ゆえの落胆や、今後の改善を求める声も見られました。
高山氏の反省と政策の明確化
こうした批判を受け、高山氏は7月30日に自身のYouTubeチャンネルで「【高山さとし】ReHacQ大反省会【振り返り】」と題する動画を公開。「がっかりさせてしまう場面が多々あり、申し訳ございませんでした。改めて国政政党としての期待と課題を痛感しました。いただいた厳しいご指摘、激励の言葉をしっかりと受け止めて参ります」と謝罪しました。その上で、後期高齢者医療制度を例にとり、後期高齢者の窓口負担を原則3割にすることで、現役世代が支払う保険料(約7兆円)を原資とする制度の改善を図り、「1人当たり年間約10万円の社会保険料負担を引き下げる」という具体的な政策方針を改めて強調しました。
今回の経験は、「チームみらい」が真の国政政党として成長していく上で重要な試練となるでしょう。国民の期待に応え、より明確で理解しやすい政策説明を行うことが、今後の信頼構築に不可欠です。テクノロジーの力で政治に新風を吹き込むという彼らの目標達成に向けて、今回の反省を糧にさらなる飛躍が期待されます。