海上ドローンは、ロシア軍にとって「新次元の脅威」に…ヘリに続き「戦闘機」まで撃墜されたことの意味


<ウクライナの戦場で「ドローン戦争」が激しさを増すなか、ロシアにとってウクライナ軍の海上ドローンの脅威は、新たな次元に突入したとの指摘も出ている>

【動画】ヘリに続き「戦闘機」まで撃墜された瞬間の映像…海上ドローンは、ロシア軍にとって「新次元の脅威」に

ウクライナ国防省情報総局(GUR)は、ロシアのノボロシースク港近郊で行われた「前例のない作戦」とするものの動画を公開した。作戦にはミサイル弾頭を搭載した海上ドローン「マグラ」が使用されたという。

2022年2月にロシアによる本格侵攻が始まって以降、ウクライナはドローン開発に力を入れてきた。その中で海上ドローンは黒海での攻撃に使用され、ロシアの黒海艦隊をクリミアの主要拠点から後退させる効果を発揮している。

ウクライナ製ドローンの性能は向上しており、2024年12月31日にはウクライナ軍が「マグラ5」ドローンを使用してロシアのMi-8輸送ヘリコプター2機を撃墜。水上ドローンが空中の標的を撃墜した世界初の例として注目された。ロシア軍の戦闘機に対する今回のドローン攻撃は、ロシアにとっての新たな脅威の出現を意味する。

■海上戦が「新たな時代に突入しつつある」

GURはテレグラムに動画を投稿し、水上ドローンによる戦闘機の破壊は世界初の例だという説明書きを添えた。投稿によればGURの特殊部隊「グループ13」が5月2日、ウクライナ保安庁の軍事情報部門およびウクライナ国防軍と連携し、ミサイル弾頭を搭載した「マグラ」水上ドローンを用いて黒海上空でロシアのスホーイSu30戦闘機を排除したという。

推定価格5000万ドルのSu30戦闘機は、ロシアが黒海艦隊の大部分をクリミアから移動させた先のノボロシースク港の近くで攻撃を受けたという。

複数の報道機関によれば攻撃に使用されたのはR73空対空ミサイルで、GURはSu30戦闘機について「空中で炎上して海に落下した」と述べ、また2024年の大みそかにウクライナの水上ドローンがロシアのMi-8ヘリコプター2機を撃墜した件にも言及した。

ソーシャルメディアのユーザーからは、今回の攻撃がきわめて重要な意味を持つという指摘が上がった。親ウクライナのX(旧ツイッター)チャンネル「NOEL」は今回の攻撃を「歴史的でありロシアにとっては屈辱的」だと称した。ウクライナ国防省は「海上戦が新たな時代に突入しつつある」と述べた。

ロシアの当局者らによれば2日夜、ウクライナ軍がロシア南部ラスノダール地方をドローンで攻撃。これにより少なくとも5人が負傷し、ノボロシースクの複数の建物や穀物ターミナルが損傷を受けた。攻撃を受けて市内には非常事態が宣言された。

■ドローンの戦闘能力が新たな次元に進化

ロシア国防省は、クリミアおよび黒海上空でウクライナ軍のドローン170機超と複数の海上ドローンを迎撃したと述べた。

ウクライナのGURは「世界で初めて、GURの兵士がマグラ水上ドローンからの攻撃によって敵の戦闘機を破壊した」と発表した。ウクライナによるロシアの戦闘機への攻撃が成功したとされる今回の事例は、ウクライナのドローンの戦闘能力が新たな次元に進化した可能性を示している。

ブレンダン・コール



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