米トランプ大統領に世界中が振り回される中、個人投資家はどう立ちまわるべきなのか。株式評論家の木戸次郎氏がマクロ・ミクロの両視点から論じる。また、海外アクティビストが虎視眈々と狙っている日本株銘柄リストも紹介していただくーー。みんかぶプレミアム特集「トランプ相場で一人勝ち」第1回。
長らく続いた円安で日本人は貧しくなった…物価高、燃料費高、米不足、生活保護者急増、闇バイトと国民はもう限界
相変わらず、トランプ大統領の言動に世界中が掻きまわされている。先日、渡米した赤沢経済財政・再生相は「関税」についての日本側の窓口になっているが、24日に日米財務相会談で渡米した加藤財務相は「為替」担当ということで、私がかねてからこのコラムで一貫して訴えてきたように、いよいよ円安是正に動き出すことは濃厚だろう。為替市場では1ドル=140円近辺での揉み合いとなっているが、この流れが加速していけば、130円から120円台までいく可能性もあると考えている。そうなれば、景気が上向き、多くの日本人が海外を闊歩する時代が再来する日も近いかもしれない。
仮に1ドル=130円まで円高が進めば、年間1000万人訪れるようになったインバウンド観光客は大幅に減って約700万人程度になるであろうが、その分、今度は約300万人の日本人が海外旅行に行けることになるのだ。
一緒くたに「インバウンド」と言うけれど、最近では東南アジアのインドネシア、フィリピン、ベトナム、タイ、マレーシアなど日本よりもはるかに貧しい発展途上国の旅行者までも「日本はなんでも安い」といって押し寄せているが、それだけ、長らく続いた円安放置が如何に国力を弱めて日本人を貧しくした異常事態であったのかを我々は教訓にすべきだと思うのだ。
現在の日本は一部の輸出産業を除けば、家計も中小零細企業も特に飲食関係などは深刻な不況状態にある。相次ぐ物価高、燃料費高、減反政策の失策による慢性的米不足、倒産件数や生活保護受給者の急増、子ども食堂、闇バイトやどんどん巧妙化していくオレオレ詐欺やネット詐欺、はたまた押込み強盗など凶悪事件の増加による治安悪化、更に国民を追い詰めるステルス増税など、円安による生活苦で日本人が如何に貧しく成り下がってしまったかを「みんかぶマガジン」のコラムにおいて、ここ一年、ずっとお伝えしてきた。この機会にバックナンバーを見返してほしいと思う。