長期目線でゆるゆる続ける“ゆる転職活動” 「心の逃げ道」つくりたい若手に浸透


【写真】ここではないどこかに行きたい…就職早々、転職サイトに登録

■入社月の4月に転職サイトに登録

 パーソルキャリア(東京都港区)が運営する転職サービス「doda」は2011年以降、入社月の4月に転職サイトに登録した新社会人の数を集計している。それによると、25年4月は11年比で30倍を超え、過去最高水準になる見通しだという。

 ただし、転職サイトに登録しても、すぐ求人に応募するほど転職意向の高い若手はそう多くない。就職した会社の勤務に励みながら、今よりも良い条件の求人があれば、ときどき応募し面接も受けるが、複数社の内定を獲得したからといって必ずしも転職するとは限らない。待遇や職場環境を冷静に比較し、長期目線でゆるゆると転職活動を続ける。そんな「ゆる転職活動」が今どきの若手に浸透しつつあるという。内実はどうなのか。実践者の話を聞くと、多くのメリットがあることが分かった。

「スキマ時間に転職サイトを見て、『いざとなったらこの会社に転職しよう』と思っていました。そうすることで目の前のストレスから逃れようとしていたんだと思います」

 こう振り返るのは、新卒で大手物販に就職した20代の男性だ。男性は激務のため入社2年目で休職。職場復帰して間もなく、転職サイトに登録することで「ゆる転職活動」にエントリーしたものの、最初のうちは職場の仕事を続けるに当たって、「心の逃げ道」をつくるのが主な目的だったという。

■採用サイト担当者から「会いたい」連絡が殺到

 最短のルートで転職しようとは考えず、「ゆる転職活動」を選択した背景について男性は2つの理由を挙げた。

「一つは、いま以上の給料をもらえる会社に転職できるのか、という不安からすぐに辞める決心がつきませんでした。もう一つは、業務が忙しすぎて、そもそも転職活動に取り組む時間を確保できないということもありました」

 ただ、転職サイトに登録すると、採用担当者から「会いたい」という連絡が相次いだ。その中で男性は、転職活動の軸になるポイントに気づいたという。

「激務にもまれる中で仕事を通じて自分は何をしたいのかが分からなくなってしまっていましたが、転職サイトへの登録は自分の職業観を自己分析していくよい機会になりました。夢や目標といった『将来なりたい自分』よりも、実際の働き方が自分に合っているのかどうかにフォーカスして転職活動すべきだと考えるようになりました」



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