第2次政権発足後、初の本格外遊を行うトランプ米大統領の訪問先の1つ、中東・カタールから同氏に高額の航空機をプレゼントする計画が浮上している。両国は正式決定ではないとしているが、大統領専用機「エアフォース・ワン」としての利用が俎上に上がっている。一方、憲法や安全保障上の懸念に加え、トランプ氏の一族によるカタールでのビジネスに関連付け、疑問視する声もある。複数の米メディアが伝えた。
AP通信によると、カタール側が贈与を計画しているのはボーイング社の747―8ジャンボジェット機。値段は4億ドル(約584億円)以上で、トランプ氏はSNSに「エアフォース・ワンの代替機を無償で、透明性の高い形で受けとる」と投稿した。現在のエアフォース・ワン2機は30年以上前に導入されたものの、新型機については契約こそ締結されたが導入が滞っているという。
ABCテレビは「トランプ氏は第2次政権が終わる2029年までエアフォース・ワンとして使用する」と報道。合わせて、この発表は「本来トランプ氏のカタール訪問時に発表予定だった」と内幕を明かした。
カタールからのプレゼント報道に対し、反トランプ派を中心に米国内は鋭く反応。いくつかの問題点を指摘している。
1つは憲法上の問題だ。ABCによると、報酬条項として、大統領を含む政権担当者は議会の同意なしに、外国や外国元首から贈り物や報酬、称号などを受け取れない。個人的な富の集積とみなされるためだ。
一方、保守派からは外国政府から提供された航空機を使用することについて、安全保障上の懸念の声が上がる。ミサイル防衛技術や放射線遮断、世界中に展開する米軍との通信システムは当然追加されるが、AP通信によると、国防関係者は「既存機や導入が停滞している新型機より能力は劣る」としている。
さらにトランプ氏の長男であるジュニア氏らが運営する組織が、カタール側と同国内でゴルフリゾートを建設する契約を結んだことから倫理上の問題を指摘する声もあるという。