大阪・関西万博で、海外パビリオンの建設に携わった日本の下請け業者への工事費未払いが問題になっている。
【写真】B国パビリオンの階段工事。鉄骨製の予定だったというが、階段は木製に見える…
開幕から1カ月たっても開館していないネパールのパビリオンでは、工事をしている気配もない。建設費が未払いのため、工事が1月からストップしているためだ。
ネパールのパビリオン工事の事情を知る関係者は、こう話す。
「ネパール側は払う払うと言いながら決済されず、やむなく請負業者は工事を中止したようです。来ていた職人さんも関西ではなく、遠くからも集めていたので、資金繰りがつかなくなったようでした」
実はこのようなトラブルがほかにもある。
■ヨーロッパのパビリオン工事で「何億円もの未払い」
「世界的なイベントである万博の仕事をして、何億円もの未払いが出るなんて腹が立ってしょうがない」
と憤慨するのは、大阪市内の建築会社のA社長だ。
A社長の会社は、万博会場の建設でアジアやヨーロッパの複数の国のパビリオン工事を請け負った。そのうち、ヨーロッパのB国のパビリオン工事では、建設費が未払いになっているという。
「もともと別の国のパビリオンの基礎工事を請け負っていたが、その関係でフランスの大手ゼネコンC社から、B国のパビリオンをやってほしいと声がかかった。共同事業として、地鎮祭から完成まですべて手掛けた」(A社長)
A社長によると、C社との契約は4億円を超える大きな仕事だった。C社はB国のパビリオン建設について、ヨーロッパで使われている工法を使うよう指示したという。
「基礎工事がなく、ヨーロッパから持ってきた鉄骨を地面で組み立てるような工法で、初めての経験だった」(A社長)
経験がない工事だったが、それよりも困惑したのが、日本との精度の差だったという。日本では、鉄筋のサイズがミリ単位で合わないと現場の作業は止まってしまう。だが、C社側から提供された資材はそのレベルではなかったという。
「何センチもサイズが合わないこともあった。そうなると、鉄筋を切ったり溶接したりという作業が必要になる。しかし、C社はそれを認めようとせず、議論は平行線で進まない。最後はしょうがなく、『ばれないよう監視カメラがないところで作業してくれ』とひそかに資材を切って、溶接をした。そういうトラブルが何度もあった」