ロシアとウクライナの約3年ぶりの直接交渉が16日に実施された。ロシアは即時停戦を受け入れず、様々な条件を突きつけたとみられる。ウクライナ側は交渉終了後、「受け入れ難い発言があった」と明らかにした。ロシア側の“どう喝”交渉から見える、停戦交渉の行方とは。
■約3年ぶりの直接交渉…停戦めぐる成果なし
ロシアとウクライナの約3年ぶりの直接交渉が16日、トルコのイスタンブールで実施された。ウクライナ側は即時停戦の実現を最優先に交渉にのぞむも、ロシア側の強硬な態度にはねかえされた形だ。
ロシア側の説明によると、両国は今後、停戦に向けた条件などを提示し合い、交渉を続けるという。ロシア側としては、自国の要求を受け入れさせるために、交渉を引き延ばすことに成功した形だ。
まずは停戦の実現、その次に和平交渉という、ウクライナや欧米が描いていた計画はすでに崩れた。ウクライナ側は次の戦略として、ゼレンスキー大統領とプーチン大統領との首脳会議を求めていく方針だが、ロシア側が応じる可能性は低いとみられる。
■“どう喝”交渉の内幕
ロシアの独立系メディアなどによると、ロシア代表団のトップであるメジンスキー大統領補佐官は、これまでになかった形での、どう喝を繰り広げたという。
停戦の前提条件として要求したのは、ウクライナ東部と南部4州からの、ウクライナ軍の完全撤退。まだロシアが支配していない地域からも撤退するよう求めていて、ウクライナとしては、到底受け入れられない要求だ。ロシア側は、ウクライナがこれを拒否した場合、この4州に加えて、国境沿いの2つの州(スムイ州・ハルキウ州)まで占領地域を広げると威嚇したという。
メジンスキー氏は次のように述べ、ウクライナに屈服を求めた。「我々は戦争は望んでいないが、1年、2年、3年、どれだけ長くても戦う用意はある。我々はスウェーデンと21年間戦ってきた(=1700~21年にかけて続いた大北方戦争)。あなたはどれくらい戦う覚悟があるんだ?」「このテーブルに座っている人たちの中には、もっと多くの愛する人を失う者もいるかもしれない。ロシアは永遠に戦う覚悟ができている」
ウクライナ側は、交渉終了後の会見で「ロシア側から受け入れ難い発言がいくつかあったが、私たちは冷静さを保った」と述べるにとどめた。