農林水産省は16日、コメ価格の安定化に向けた政府備蓄米の入札方法を見直し、早期に小売店などへ販売することが見込まれる集荷業者を対象に、入札の優先枠を新たに設けると発表した。備蓄米の多くが集荷や卸売業者などの流通段階で滞留する中、迅速に消費者へ届くようにする狙いがある。
備蓄米を5~7月まで毎月10万トン放出する方針も正式に発表した。このうち6万トンを優先枠に定め、1か月程度の早期に小売業者へ販売する計画を立てた集荷業者を対象とする。優先枠6万トンの内訳は、集荷業者から卸売業者を介さずに小売業者に直接販売する場合に2万トン、集荷業者から卸を通じて小売業者に販売する場合に4万トンとなる。
備蓄米は4月までの3回の入札で計31万トンが落札されており、5~7月に10万トンずつ放出すると、合計の放出量は計60万トン程度になる。今後も一定量を放出し続けることで流通量を増やして価格の抑制を目指す。5月に行う4回目の入札は28~30日に実施される。
江藤農相は16日午前の閣議後記者会見で「政府備蓄米を消費者に迅速に供給し、コメを安定的に供給できるよう努める」と述べた。入札の優先枠の新設に関し、「備蓄米がよりスピーディーに消費者に届くようにする」と意義を説明した。
ほかの入札見直し策として、備蓄米を落札した業者からコメを買い戻す期限を「原則1年以内」から「原則5年以内」に延長することも決めた。短期間に買い戻しが集中して進めば、コメ価格が上昇する懸念があることなどを考慮した。