1年前なら5キロあたり2000円ちょっとで買えたはずのお米が、今ではほぼ4200円に。
深刻化する令和の「米騒動」だが、あるXのポストが大バズしている。
《台湾のコストコで日本の秋田小町5キロが539台湾ドル(日本円だと約2600円)で買えます。台湾で日本の米買った方が安いのはなぜ…》(Xのポストより)
この期に及んで米の輸出推進を語る石破総理にも怒りの声
ポスト主は台湾在住で偶然コストコで見つけた秋田こまちを撮って投稿したようだが、10万もの「いいね」が付き、リプライは1100を越えた。
その内容の多くが米価を高騰させているとして政府・自民党、あるいはJAへの怒りに溢れるものだった。
確かに、2月に決定した備蓄米の放出を経ても米価格は今だに下がらず、そして石破総理大臣も、5月11日のテレビ出演で、「日本の美味しいお米、安全なお米を世界の人々に提供するってのは日本がやるべき国際社会に対する責任じゃないんですか」などと、米不足の中であえて輸出の話をする感覚のズレっぷりであり、政府へ怒りが向かうのも無理からぬことだ。
それでは海外で日本の米は叩き売られているのだろうか?
週刊女性PRIMEが海外のECサイトで日本産の日本米の価格を調査したところ、一概にそうともいえない実態が浮かび上がってきた(いずれのケースも送料は触れていなければ無料)。
例えば、今回物議の投稿の現地である台湾でも、代表的なECサイトである『蝦皮購物』で、秋田こまちは5キロ650台湾ドル(約3100円)ほどで売られている。
ただし「COSTCO代購」と記載されており、コストコで代理で買ってきますという意味で、おそらく冒頭で述べた5キロ539台湾ドルに上乗せして、650ドルにしているものと思われる。
送料込みで日本より安いものはごく一部
その他『蝦皮購物』を探してみても、日本産米はこの「COSTCO代購」の秋田こまちでなければ、1150台湾ドル(約5520円)や1450台湾ドル(約6960円)のものばかり。
つまり台湾のコストコでなぜか秋田こまちが特別に安く売られているという局地的な事情があるようだ。
アメリカを代表するスーパーマーケット、『Walmart(ウォルマート)』のECサイトでは、彩錦という日本産米が5キロ46.8米ドル(約6800円)、代表的なECサイトである『ebay(イーベイ)』では、5キロ93.08米ドル(約13500円)で売られている。アメリカアマゾンのサイトではアメリカ産日本米はあっても日本産日本米は見つからなかった。
日本産米がもっとも輸出されている香港では、代表的なECサイト『HKTVmall』で新潟産の『こしいぶき』が一般会員の送料額込みで239香港ドル(約4400円)、『こしひかり』が179香港ドル(約4800円)で売られていた。
タイのECモール『LAZADA(ラザダ)』では、日本の業者が日本産米(品種の記載はなし)を送料込みで645タイバーツ(約2800円)で販売。
以上の調査からわかることは場所によっては現状の日本の店頭価格を下回るケースもあるが、ごく一部であるということ。
「もともと日本産米の輸出は国策で、日本国内での米消費量の長期的な下落のカバーが第一の要因です。輸出推進策は2016年ごろから始まったことで昨日今日の話ではありません。SNSで指摘されているように、輸出用米の補助金制度も設けられています。そうした中で、流通経路や現地の購買力によっては海外において日本の現状の店頭価格を下回るケースが出てきてもおかしくないでしょう。また、今回の日本の米価格高騰は、2023年夏猛暑からの米不足、外国人観光客による需要増、経済全般のインフレや燃料などの流通コスト増などの複合的要因が絡み合っています」(経済ジャーナリスト)
確かに日本産米の輸出は以前からあることで、日本人の米消費の低迷をカバーするためだった。円安や海外での日本食ブームという追い風もあった。そんな中、もろもろの要因で国内で米高騰が起き、ごく一部で「海外の方が安い」ケースが出ているということ。決して、政府が日本人にお米を食べさせないために外国に輸出しているわけではなく、そのような“陰謀論”に踊らされないよう注意が必要だろう。