今月22日・23日に開催されたG20ヨハネスブルク・サミットに出席した高市早苗首相は21日、自身の旅支度についてXでこうつづった。〈クリーニングから戻ってきた服の中から、「安物に見えない服」「なめられない服」を選ぶことに数時間を費やしました〉〈外交交渉でマウント取れる服、無理をしてでも買わなくてはいかんかもなぁ〉。この投稿には、「服でマウントを取る必要はない」「政策や交渉で勝負して」といった批判が相次ぎ、物議を醸した。では、世界のVIP事情にも詳しいファッションデザイナー・ドン小西氏(75)は、高市首相の装いをどう評価しているのか。歯に衣着せぬ“本音”のアドバイスを送る。
【写真】装いの「差」は一目瞭然? 小池都知事と高市首相の貴重ツーショット
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ファッションはその人の内面を映す鏡なんですよ。首相になってからの高市さんの装いを見ていると、勝ち気な性格からか、一部の関西人にみられる見えっ張り精神からか、はたまた不格好な立ち居振る舞いが目立った石破茂前首相を反面教師にしているのか、「これでどうだ、なめられてたまるか!」っていう執念が笑っちゃうくらい伝わってくるよね。
G20で身に着けていたのも結局、ワンピース、ジャケット、胸元にアクセサリーっていういつものワンパターンだった。彼女、昔の髪形やメイクを見ても、もともとそんなにセンスがある人じゃないのよ。そのことにはたぶん本人もコンプレックスがあって、首相として時間に追われる中での苦肉の策として、「これさえ着ておけば格好がつく」っていう“制服”を編み出したんでしょう。
■ジャケットもアクセサリーも笑顔も「甲冑」
ジャケットは、シルクのような高級素材を使ったテーラードジャケット。もし誰かに文句を言われても、「これ○十万円もしたんやで、よう見てみ!」って言い返せるような上質なものね。ボタン位置が低くVゾーンが深いデザインが多いのは、貫禄があってエレガントに見せたいから。ウエスト下の丈が短いのは、はなからワンピースやスカートに合わせるつもりで、パンツスタイルは念頭にないことが読み取れるね。
さらにロールス・ロイスのエンブレムのごとくゴージャスなネックレスでセレブ感を演出しつつ、仕上げはあの満面の笑み。悠然とした印象を与えたいんだろうけど、引きつったような表情になっちゃって、内心は必死なのがバレバレだね。彼女にとって、ジャケットもアクセサリーも笑顔も、戦闘中にまとう甲冑(かっちゅう)のようなものなんだよ。
外交交渉における各国首脳たちの装いを見ていると、高級スーツをビシッとキメている人もいれば、余裕を演出したいのか場違いなノンネクタイで来る人もいる。その国の文化や本人の人間性が透けて見えるわけ。アメリカのトランプ大統領の服装には威圧感や他人の目なんかどうでもいいという開き直りが漂っているし、イタリアのメローニ首相はかわいらしい丸襟をコーディネートに取り入れるなど個性をうまく表現している。
高市さんは、僕から言わせるとファッションセンスがまだまだ幼いね。一国の主がこのレベルでどうなのよって思っちゃう。上等な服を着ているだけじゃ、他国のトップ相手にマウントはとれませんよ。ジャケットの下はシャツにスカーフを合わせてみたり、たまにはパンツもはいてみたり、ファッションから内面の柔軟性や独創性、その人らしさがにじみ出るようになって初めて、世界から一目置かれるような本物になれるんじゃないですか。






