5年に1度の年金制度改革をめぐり、政府は16日、年金関連法案を閣議決定した。今夏の参院選を見据えた自民党内の慎重論を受け、法案手続きは想定よりも約2カ月遅れとなった。法案には、厚生年金加入で保険料の支払いが生じる年収「106万円の壁」の撤廃などを盛り込む一方、柱としていた基礎年金(国民年金)の底上げ策は除外した。
【写真】「あんこのないあんパン」 年金関連法案、与野党の修正が今後の焦点
将来の低年金対策の一つとして、厚生労働省は当初、基礎年金(国民年金)の底上げ策を法案に入れていた。ただ、選挙を控えた参院自民を中心に、法案提出に反対する意見が続出。党内の議論は足踏みし、3月中旬を目指していた法案提出は大幅に遅れた。
厚労省は4月、基礎年金の底上げ策を法案から削除。これを受けて党内では法案手続きを進め、閣議決定にこぎ着けた。
このほか法案には、働く高齢者の厚生年金をカットする「在職老齢年金」制度の見直し▽子のいない現役世代が受け取る遺族厚生年金の給付の有期化▽高所得者の厚生年金保険料の上限引き上げ――などが盛り込まれた。
基礎年金の底上げ策に関して野党側は修正を求めており、今国会での成立に向けて焦点となりそうだ。(高絢実)
朝日新聞社