庶民の味方だったスルメイカの価格が、不漁により高騰し、気軽に食べられなくなってしまった。今後、漁獲量が増えることは? 安くなることは? 専門家にスルメイカの未来予測を聞いた!
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■この10年で漁獲量は8分の1、価格は4倍に!
「イカ刺し」「塩辛」「イカ天」「あたりめ」などの原料となるスルメイカが激減し、価格が高騰している。
立ち食いそばチェーン店の「小諸そば」は今年1月、「現在、『いか』の原材料費が著しく高騰しているため『いか天そば』『いか天せいろ』の販売を終了させていただきます」と、イカ天メニューの終売を発表した。
イカ天そばが人気ベスト3に入るという東京・四谷の立ち食いそば店「つぼみ家」は、イカ天そばの価格を昨年11月に520円から540円に値上げしている。
「値上げをしたのは、イカ不足によって仕入れ値が上がってしまったからです。今よりもっと仕入れ値が上がったらさらに値上げをするか、立ち食いそば屋の値段に合わないような金額になるならやめてしまうこともありえます」
活イカの刺し身などを提供する「イカセンター新宿総本店」も「活きたスルメイカは今、ほとんど入ってこないですね。この5年くらいは品薄状態が続いています」という。
イカ不足による価格の高騰は、庶民の食事に大きな影響を与えているのだ。
では、実際にどのくらいスルメイカは減っているのだろうか。水産庁の「水産物流通調査」によると、2014年の漁獲量は17万2688tだったが、23年は2万1248tと約8分の1に。
長年イカの水揚げ量日本一を誇っている青森県八戸市でも、「スルメイカの水揚げ数量は、14年は3万1372tでしたが、24年は3982tです」(八戸市水産事務所)という状況だ。
卸売価格はどうだろう。水産庁の「水産物流通調査」によると、14年の生スルメイカは1㎏当たり276円だったが、23年には1㎏当たり942円。なんと、この10年で4倍近くに値上がりしていたのだ。
こうしたスルメイカの激減を受けて、水産庁はスルメイカの漁獲枠を24年度の7万9000tから、25年度は過去最少の1万9200tと約76%削減した。
スルメイカの資源数の確保が狙いのようだが、これで激減に歯止めがかかるのだろうか。国立研究開発法人水産研究・教育機構の岡本 俊氏に聞いた。