犯罪者が狙う家:在宅中でも油断できない侵入窃盗の危険と防犯対策

全国各地で多発する強盗や空き巣などの侵入窃盗被害は、一軒家だけでなくオートロック付きマンションでも多く発生しています。犯罪者が狙う家と避ける家の違いは何か、そして見落とされがちな『Googleマップ』の設定がどのように関連するのか。防犯アドバイザーの京師美佳氏の解説を基に、その実態と対策を探ります。

住宅を狙う侵入窃盗犯のイメージ。空き巣や強盗の標的となる家を見極める。住宅を狙う侵入窃盗犯のイメージ。空き巣や強盗の標的となる家を見極める。

在宅中にも発生する侵入窃盗:夏と台風シーズンが狙われやすい理由

警察庁のデータ(2023年)によると、住宅で発生した侵入窃盗のうち、約3割が住人の在宅中に発生していることが明らかになっています。専門家は特に夏の季節が危険だと警鐘を鳴らしています。犯罪学者の小宮信夫氏は「暑い日は窓を開けっぱなしで寝てしまう人も多く、そこから侵入される危険性がある」と指摘。また、防犯アドバイザーの京師美佳氏は「お盆などの長期休暇や台風シーズンは、人の目が減るため、犯罪が起こる可能性が高い」と分析しています。

夏場に増加する侵入窃盗の危険性を示すグラフまたはイメージ。夏場に増加する侵入窃盗の危険性を示すグラフまたはイメージ。

京師氏によれば、台風シーズンに犯罪が増えるのは、雨によって足跡が消えやすいこと、物音が聞こえにくくなること(窓ガラスなどを割りやすい)、そして周辺住民が雨戸を閉めて室内に閉じこもることで目撃される確率が減るためです。空き巣犯や強盗犯は、このような暴風雨の状況を好む傾向にあり、台風の際には、住人が家にいたとしても侵入してくる可能性が考えられます。

防犯アドバイザーの京師美佳氏が侵入窃盗対策について解説する様子。防犯アドバイザーの京師美佳氏が侵入窃盗対策について解説する様子。

犯罪者が避ける家・狙う家:目撃されない環境が最大のリスク

日本人として初めて英・ケンブリッジ大学大学院犯罪学研究科を修了した立正大学教授の小宮信夫氏の著書「犯罪者が目をつける『家』」では、“危険な家”の特徴が紹介されています。

例えば、「危険な家はどちらか?」という問いに対して、「A:『高い』植木や塀に囲まれた家」と「B:『低い』植木や塀に囲まれた家」の選択肢が提示されます。

正解はAです。高い植木や塀に囲まれた家について、小宮氏は「侵入すれば外部から姿を見られる心配なく犯行できる」と述べています。京師氏も「犯罪者は目撃されることを一番嫌う」という見解を示しており、警察庁のデータでも、犯行を諦める理由の最も多いのが「近所の人の目」であることが示されています。そのため、高い植木や塀のように人目を妨げる環境は、犯罪者にとって大変好都合な場所となります。ただし、塀などが低くても、その家の周辺環境によっては危険度も変わると京師氏は補足しています。

家の防犯に関するクイズ。高い塀と低い塀、どちらが犯罪者に狙われやすいかを示す。家の防犯に関するクイズ。高い塀と低い塀、どちらが犯罪者に狙われやすいかを示す。

犯罪者が好む、外部から見えにくい環境の家屋を示すイラストまたは写真。犯罪者が好む、外部から見えにくい環境の家屋を示すイラストまたは写真。

結論:防犯は「見通しの良さ」と「季節ごとの警戒」から

侵入窃盗は在宅中でも発生する可能性があり、特に人の目が少なくなる長期休暇や、足跡が消えやすい台風シーズンには注意が必要です。犯罪者が最も嫌うのは「目撃されること」であり、家の外構や植栽が外部からの視線を遮る高さである場合、かえって狙われやすい家となってしまいます。自身の住まいがどのような環境にあるのかを再確認し、見通しの良い環境を保つことが、侵入窃盗から身を守るための重要な防犯対策と言えるでしょう。

出典

Yahoo!ニュース (読売テレビ)