“シャーシャー猫”ばかりが結集
埼玉県の川越に本店がある「保護猫カフェねこかつ」(以下「ねこかつ」)が開催する、猫の譲渡会が話題を呼んでいる。通常の譲渡会とは別に、人間に対して攻撃的だったり、威嚇のポーズをとったりする“シャーシャー猫”ばかりを集めた「最強の保護猫譲渡会」を不定期で開催しているのだ。5月3日、なんと3回目となる譲渡会が開催されたので、デイリー新潮では現地を取材した。
「ねこかつ」のXのポストを見ると、この譲渡会には抱っこ大好きな猫、甘えん坊の猫、懐っこい猫、里親希望の多い子猫は「1頭もいない」という大胆な文言が並ぶ。そして、「猫はどんな猫だってかわいい!」「人に慣れていないその気高さがいい!」「私が慣れさせるから大丈夫!」という人におすすめ、と告知されている。
保護猫カフェのスタッフは、あらゆるタイプの猫を見てきているはずだ。そんな百戦錬磨のスタッフが認めるほどのシャーシャー猫たちなのだから、通常の譲渡会ではお目にかかれないような一癖も二癖もある猫ばかりに違いない。ある意味、本気で猫が好きかどうかが試されるハイレベルな譲渡会といえそうだ。いったいどんな猫が集まるのだろうと想像しながら、会場へと足を運んだ。
いきなり、猫にシャーされたが…
譲渡会は東京の目白の貸しスタジオで実施された。13時〜16時、3時間という限られた時間での開催だが、会場に入るとたくさんの人で賑わっていた。家族連れの姿もあったし、猫の柄がプリントされたTシャツを着たいかにも猫好きと思われる人も見られた。そして、会場では手作りの猫用おもちゃなどのグッズ販売コーナーもあり、暗い雰囲気はまったくない。
会場にやってきたシャーシャー猫は40頭。それぞれの猫は春らしく装飾されたケージに入り、猫の名前、年齢、保護された経緯、そして初級、中級、上級と“人慣れ度”が明記されている。スタッフが書いたプロフィールも添えられ、「怖くて怖くてしょうがないからシャー! って言うんだ、ボク」「だって強く見せないとお外では生きていけなかったからだけど、ほんとは甘えたいんだ」など、読むだけで猫への愛情があふれているのがわかる。
さて、筆者も猫と暮らしているので、猫に慣れている…はずなのだが、目が合ったらいきなりシャーされてしまった。筆者にシャーしてきたのは、キジ柄の女の子“カモガイ”ちゃん。なるほど、最強の保護猫譲渡会という看板には一切偽りがないなと感じたが、他の猫はというと、シャーしてくる気配がない。シャーの場面を撮影しようとカメラで狙ったが、結局、撮影できなかったほどである(カモガイちゃんは目が合ったらいきなりシャーされたので、惜しくも撮影できなかった)。
むしろ、人間を警戒し、おびえている猫が多いなと思った。カモガイちゃんも布団の下に入っておびえた様子だったし、黒白猫のメルティちゃんは完全に布団にもぐりこんでいた。猫たちの瞳はつぶらであり、見れば見るほど愛らしく感じる。最初は、どんなヤバそうな猫がいるんだろうと身構えていたが、会場にいるうちに「こんなかわいい猫が傍にいてくれたら最高だろうなあ」と思えるようになっていた。