安倍氏の死去後に休眠状態に
自民党の「自由で開かれたインド太平洋戦略本部」が14日、活動を再開した。本部長を務める麻生太郎最高顧問、本部長代理の高市早苗・前経済安保担当相、顧問の茂木敏充幹事長ら約60人の議員が出席。安倍晋三元首相が提唱した外交構想を継承・発展させるための組織、ということになっているが、石破茂首相に批判的な勢力が集まっているのも事実。ここをベースに今後「石破おろし」の機運が高まってくるのではないかなどと注目されたが、実際はどうなのだろうか。
元々この戦略本部は2021年当時、政調会長を務めていた高市氏が主導して設置したものだった。が、2022年7月に安倍氏が死去したことで休眠状態となっていた。それから約3年経って再起動することになったきっかけは、昨年の総裁選だった。
「総裁選の決選投票で麻生氏は高市氏を支持しました。今年に入って、高市氏は麻生氏と面会した際に戦略本部のリスタートと本部長就任を依頼したというのが実情のようです」
と、政治部デスク。
アンチ石破勢力の拠りどころに
会合に集まったのは茂木氏の他、萩生田光一元政調会長、西村康稔元経産相ら旧安倍派幹部の顔もあった。
「メンバーだけ見れば石破首相と距離を置く人たちが集まったと言われても仕方ないでしょう。高市氏は相前後して、物価高対策として食料品に適用される消費税の軽減税率を0%に引き下げるべきだと主張し、消費税減税に後ろ向きな石破氏について“かなりガッカリしている”とも述べました。今後、この戦略本部がアンチ石破勢力の拠りどころになっていく可能性を指摘する声は多少あります」(同)
もっとも、コトはそう単純ではないようだ。
「消費税の点ですね。麻生氏の財務相としての在任期間は戦後最長で、現在も財務省の後見人的立場であることは誰もが知るところ。財務相を退任する際の会見では実績として2度の消費税率引き上げについて胸を張っていました。そんなスタンスの麻生氏にとって高市氏の今回の主張は到底受け入れがたいものでしょう」(同)
大げさに言えば、麻生氏の政治家としてのアイデンティティを否定したような発言だったわけだ。