全国農業協同組合連合会(JA全農)など大手集荷業者を介さず、JA以外の業者らが農家から直接買い取るなどしたコメの「スポット価格」が今年1~4月時点で、JA経由の販売ルートの約2倍の高値になっていることが19日、判明した。農林水産省はコメの価格が下がらない要因として、スポット価格の影響が大きいとみており、先に発表した備蓄米を米穀店など小売業者に直接届ける新たな入札制度の導入などで、価格の下落を促したい考え。
昨年夏の品薄感などを契機に、小売店で販売できるコメの量が少なくなった。それと前後し、2024年産米をJAをはじめとする集荷よりも高値で農家やほかの卸売業者から直接買い取る業者が増加。最も流通量が多いルートであるJAなどの集荷業者に流れる量は大幅に減少した。
農水省が24年産米に関し、流通の各段階で売買される玄米60キロ当たりの価格を調べたところ、JAなどの集荷業者が仕入れ先の農家に払った金額は約2万円(5キロ換算1667円程度)、集荷業者から卸売業者に販売した相対価格は全国平均で2万4500円(同2042円)だった。いずれも23年産米と比べ、5~6割ほど増加している。
これに対し、業者間の現物取引で売買されるスポット価格は4万5000~5万円程度(同3750~4167円程度)で、2倍近い高値だった。こうした高値で流通したコメの多くがスーパーなどの小売店に流れているとみられ「店頭で5キロ4500~5000円ほどのコメ価格になっている」(政府関係者)との指摘がある。
コメの卸売業者でつくる全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)の関係者はスポット価格の高騰について「各事業者が(コメの不足感から)調達に走った結果だ。昨年のコメ不足に起因する競争もあり、JAなどの集荷業者からの供給自体が減っていることも大きい」と説明。前年比でコメの調達が8割減になった業者もいたとし「そうなれば現物をどうにかして確保しなければならない。高騰したのはそうした結果だ」と話した。【中津川甫、渡辺暢】