7月20日に投開票される参院選が3日に公示され、全国各地で選挙戦が本格的に始まった。注目政党の一つである参政党の神谷宗幣代表は5日、大阪を訪れ、南海難波駅前で街頭演説を実施。先の見通しについて、当初目標とする獲得議席数の上積みに強い意欲を示した。
神谷代表はこの日、大阪維新の会の本拠地である大阪の地で、「大阪の皆さんは、維新と橋下徹さんに期待して自民党ではだめだと判断した。けれども15年たって、よくなっていない」と述べ、既存政治への批判を展開。続けて、参院選での目標獲得議席数について、これまで掲げていた10議席から「15、20議席を目指しましょう」と聴衆に呼びかけ、目標の上方修正を示唆した。
勢いづく参政党の現状
参政党は2020年に設立された比較的新しい政治団体である。2022年の参院選では、神谷氏が比例代表で初当選を果たした。昨年の衆院選では3議席を獲得し、梅村みずほ議員が加わったことで公職選挙法上の政党要件を満たしている。最近では、6月に行われた兵庫県尼崎市議選で公認候補者がトップ当選を果たしたほか、同月に行われた東京都議選でも新たに3議席を獲得するなど、地方選挙においても勢いを見せている。 「日本人ファースト」などをスローガンに掲げ、インターネットを中心に支持を拡大してきた参政党は、その勢いを背景に、大阪における維新の勢力図に食い込む可能性も取り沙汰されている。
参院選に向け街頭演説を行う参政党代表の神谷宗幣氏
神谷代表の発言が物議を醸す背景
一方で、参政党の躍進には不安要素も指摘されている。それは、神谷代表の過去からの数々の発言が物議を醸している点だ。例えば、過去の街頭演説では、国会議員の資質について言及する際に「ロリコンだったって仕方ないじゃないですか、許してあげましょうよ」と発言したほか、党のYouTubeチャンネルでは「天皇陛下側室制度」の復活を提案するなど、過激とも取れる主張が物議を呼んできた。
最近では、「高齢の女性は子どもは産めない」と述べた上で、女性の社会進出が少子化の一因になったとも受け取れる発言をしたことで、「女性蔑視が過ぎる」「女性の価値を産む・産まないで判断しないで欲しい」といった批判がSNS上で多数寄せられている。
さらに、過去に「メロンパン一個食べて翌日に死んだ人はたくさん見てます」という根拠不明な発言をした動画が拡散されると、それに対する抗議として、実際にメロンパンを持って街頭演説会場などに現れる人々が続出するという混乱した状況も発生している。
SNS上では、こうした一連の発言に対し、「メロンパン食べたら死ぬとか言ってる人を当選させちゃ駄目だろ」「参政党を支持するってことは、ロリコン容認して今後メロンパン食べないってことでOK?」「調べれば調べるほどヤバいな……」といった厳しい声が上がっており、街中では参政党の選挙ポスターが何者かによって破られるといった様子も散見されている。
しかし、前述の兵庫県尼崎市議選や東京都議選での当選者輩出を見る限り、こうした批判や騒動にも関わらず、参政党の現在の「躍進劇」は紛れもない事実である。
参院選における参政党の動向、そして神谷代表の一連の発言が、注目を集めるための「炎上商法」としての側面が強いのか、それとも本人の自然な主張が意図せず炎上を招いているのか。物議を醸しつつも勢いを増す参政党、そしてその代表である神谷氏が、今回の参院選でどのような結果を残すのか、注目が集まる。
参考資料
Source link: https://news.yahoo.co.jp/articles/bb0172c12e73484d82365735b89d5402cc00e682