北朝鮮は昨年1万人を超える兵力をロシアに派遣し、事実上ウクライナ戦争の当事者となった。老朽化した装備と訓練環境で格下とみられた北朝鮮軍は、戦闘を繰り返すことで目立って進化した。ウクライナで向き合う韓半島(朝鮮半島)の軍事的現実だ。
最近まで最前線で戦ったウクライナ陸軍予備役大佐ドミトロ・キムさんと17日にキーウで会った。彼は激しい戦闘中に片目を失明し転役した。高麗人4世で、母親がウクライナ人だ。韓国語はわからない。愛国心やアイデンティティは明確にウクライナ人だった。
彼はウクライナ軍が共有している北朝鮮軍に対する情報を比較的詳細に明らかにした。彼は「捕虜になるのを防ぐため上官が部下を射殺したと推定されるケースもみられる」と話した。以下は一問一答。
――北朝鮮軍に対するウクライナ軍の評価は。
「専門的な経験と技術はないが、捕虜にならないよう最後まで戦う。精神力だけで戦う。ただロシア軍からドローンの使用法を学んで戦闘技術が当初より改善されたという」
――北朝鮮兵を特定する表現があるか。
「『犬肉を食べる人間』という。多少脈絡がある話だ。われわれはロシア兵を主人が命じなければ仕事をしない犬と馬鹿にするためだ。そんなロシア兵と北朝鮮兵が戦場で衝突が多いのでついたニックネームだ」
――北朝鮮兵は捕虜になりそうな時には自決を選ぶというが。
「実際に集団自決現場に見えるケースはあったが、調査の結果、自分の意志による自決ではないという。戦闘中に窮地に追い込まれた分隊長など上官が部下を射殺し本人も自決して捕虜に転落するのを防いでいると推定する」
――ロシア兵と北朝鮮兵の共通する特徴はあるか。
「ウクライナ軍の銃器が落ちていれば必ず持っていこうとする。一種の戦利品と考えているようだ。また弾丸が足りないためウクライナ兵の銃器を使おうとする考えもあるようだ。しかしウクライナ兵は爆発物が内蔵された銃器を戦場に放置して逆に利用する。ロシア兵や北朝鮮兵が回収して使おうとすれば爆発するように設置しておいた。
――ウクライナ兵はロシア兵や北朝鮮兵の銃器を持っていかないのか。
「少し前に射殺した敵が身につけていた銃器だけ持っていくことがある。もちろんロシア兵も余分の弾倉にわざと爆弾を設置しておくケースがあった。射殺したばかりの敵の銃器を回収して弾倉を取り替えたら爆発する。そのためできるだけロシア兵の武器は使わない」
――戦場で駆け引きが激しそうだ。
「そうだ。それがハイブリッド戦争だ。ウクライナ軍は安価な携帯電話数台を戦場にわざとばらまいたりもする。すると携帯電話の信号を捕らえたロシア軍はウクライナ兵が密集しているものと誤認して砲撃する。そうして敵の砲弾を浪費させる」
――ドローンに対する北朝鮮兵の対処はどうなのか。
「ロシア兵はドローンの前から逃げればより速く死ぬことをわかっている。北朝鮮兵はそれを知らずに逃げるためさらに目立つ。ドローンに出会ったらいっそ森の中に静かに隠れなければならない。ドローンを捕まえるネットがあり、それでドローンを捕獲する方法もある。ロシア軍がよく使う。また、周辺にドローンがあるのか、どんな種類のドローンなのかを教える探知機もある。そのような技術製品を使ってドローンを避けなければならない」
――北朝鮮軍とロシア軍の戦術に対する評価は。
「ウクライナ軍と戦術的な差が大きい。北朝鮮軍やロシア軍は上官の命令に絶対服従するのが原則だ。問題が生じれば自分で解決できず上部に報告して許可を受ける。そのため動きが非常に遅い。ウクライナ軍は反対に現場の判断が先なので動きが速い」。