米NY大学、卒業スピーチでガザでの戦争を非難した学生の卒業証書を保留


学部生のローガン・ロゾス氏は14日の卒業式で、出席者らを前に、「パレスチナで現在起きている残虐行為」を非難すると述べ、歓声と、一部からブーイングを浴びた。

NYU広報担当のジョン・ベックマン氏は、ロゾス氏が「個人としての一方的な政治的見解を表明する」目的で、スピーチで話す予定の内容について大学側にうその説明をしていたと非難した。

また、大学がロゾス氏に対する懲戒処分を検討する間、同氏への卒業証書の授与は保留するとした。

アメリカでは、大学における親パレスチナの活動が、政治色の強い問題となっている。ドナルド・トランプ政権は、エリート大学などでの「反ユダヤ主義」を取り締まっており、これが言論の自由をめぐる論議を呼んでいる。

NYUは、ロゾス氏の発言を「強く非難」し、「深くおわびする」と表明。「与えられた特権を乱用した人物によって、今回の瞬間が奪われた」とした。

■スピーチの内容

卒業式でロゾス氏は、ステージ上で紹介された後、「このスピーチについて、うわあどうしようとなっていた」けれども、言うべきことを言わなくてはならないと決心したのだと話した。

そして、「現在起きているジェノサイドは、アメリカが政治的、軍事的に支援しているもので、私たちの税金で賄われていて、私たちの電話でライブストリーミングされている」と発言。

「私はこのジェノサイドと、このジェノサイドへの加担を非難する」と続けた。スピーチは約2分半にわたった。

ロゾス氏は、イスラエルやユダヤ人には特に言及しなかった。イスラエルは、ガザでのジェノサイドを強く否定している

NYUのウェブサイトに掲載されていたロゾス氏のプロフィールによると、同氏はリベラルアート系の学部で文化批評と政治経済を学んだ。プロフィールはすでに削除されている。

インターネットの別のプロフィールには、「俳優、芸術家、ゲイの黒人トランス男性」と書かれている。

■トランプ政権が大学で取り締まり

反ユダヤ主義を取り締まるトランプ政権のチームは、複数の大学について調査中で、対象の10大学にNYUも含まれる。

一方、教育省は60大学に対し、ユダヤ人学生を保護しなければ「強制措置」を取るとする警告文書を送っているが、NYUはこれには含まれていない。

NYUのスターン・スクール・オブ・ビジネスには、トランプ大統領の息子バロン氏が在籍している。

アメリカではここ数カ月、大学内での親パレスチナの活動に参加した留学生らが何人か拘束されている。

トランプ政権はそうした学生について、ガザのイスラム組織ハマスへの支持を表明したとして国外退去を求めている。ハマスは、アメリカ、欧州連合(EU)、イギリスがテロリスト集団に指定している。

学生の弁護士たちは、学生たちは言論の自由の権利を行使していると主張。政府を、「学生活動と政治的言論を公然と弾圧している」と非難している。

(英語記事 NYU withholds diploma of graduate who condemned Gaza war)

(c) BBC News



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