亡くなった被害者がAIによる映像で出廷。弟を失った姉が法廷で再現した「最後の言葉」


【動画】AIによって再現された生前のペルキーさんの姿

CNNやBBCなどの報道によると、この試みを実現させたのは、被害者の姉ステイシー・ウェールズさん。彼女と夫はテクノロジー業界に従事しており、過去には企業向けにAI映像を制作した経験があった。事件後2年かけて弟の人柄や言葉を想像しながら被害者陳述を執筆。その文を、過去の映像・写真・音声データをもとに作成したAI映像の“ペルキー”が読み上げた。

法廷では、グレーのキャップをかぶったAIのペルキーさんが「別の人生なら、私たちは友人になれたかもしれない」「私は赦しを信じる。神もまた赦してくださると信じている」と語った。

トッド・ラング裁判官はこの映像を肯定的に受け止め、求刑より重い懲役10年半の判決を言い渡し、「家族の怒りの中に、赦しの声が聞こえた」と述べた。

このようなAI技術の法廷利用は、米国内でもほとんど前例がない。陪審員が不在の量刑審理だったため実現したが、専門家からは懸念の声も上がる。カーネギーメロン大学で倫理学を教えるデレク・レーベン教授は、「被害者の本意を忠実に再現できる保証はない」と警鐘を鳴らす。

一方で、姉のウェールズさんは「これは証拠ではなく意見表明であり、弟の人柄を裁判官に伝える“最後の言葉”だった」と語る。映像を見た14歳の息子は「クリスおじさんにもう一度会えてよかった」と涙をこぼしたという。

「AIは強力な道具。建物を壊すためにも、建てるためにも使える。私たちは“建てる”ために使った」と語るウェールズさん。AIがもたらしたこの再会は、遺族にとって深い癒やしとなった。



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