雇用・経済に大打撃…日産の2工場閉鎖案、神奈川県で広がる不安の声


【一覧表】日産の17カ所の工場と生産能力

日産系と取引があり、自動車内装部品などを製造する横須賀市内の企業経営者は「『人気車種が出れば受注も拡大してくる』と地元として日産への期待はあったが、(工場閉鎖案が浮上したことには)残念に思う」と率直な思いを語る。

以前は複数車種に部品供給していたが、現在は1車種のみ。自動車分野以外に取引先の幅を広げてきたこともあり、たとえ現在の取引がなくなっても経営への影響は限定的とみる。一方、「生産設備のメンテナンスなどに関連する企業には大きな問題なのではないか」と地域経済への影響を不安視する。

追浜工場は小型車「ノート」などを生産。テストコースを併せ持ち、日産のマザー工場とも位置付けられる。横須賀市内ではパワートレーン工場の久里浜工場が2002年に操業を停止した。完成車工場の閉鎖となれば影響はさらに甚大だが、現時点で動向は不透明。横須賀市経済部企業誘致・工業振興課は「関係機関と正確な情報を共有し、動向を注視したい」とする。

一方、日産車体湘南工場は日産車体九州(福岡県苅田町)の新工場稼働に伴う生産体制再編で、12年に規模を大幅に縮小した。現在、湘南工場は小型商用車を手がけているが、生産する2車種のうち商用バン「AD」について11月の生産終了が決まっている。日産が24年11月に公表した経営再建策の一環だ。

規模縮小で地元の懸念が強まる中で、工場閉鎖の計画が浮上。平塚商工会議所の常盤卓嗣会頭は「市内には日産車体向けの仕事が多い事業所がかなりあり、影響は多岐にわたる。今後の動向を注視し、市とも連携して対応を協議していきたい」と方針を示す。

神奈川県は19日に関係部局の幹部を集めて庁内会議を開き、黒岩祐治知事は「神奈川県における日産の存在は非常に大きい」とし、「いざという時のためにどう対処するか、さまざまな角度からできることを検討したい」と強調した。

県内2工場の閉鎖や縮小に関し、県は日産側から「何も決まっていない」との説明を受けており、県は「影響が最小限に抑えられように努めてほしい」との要望を日産側に伝えたという。県は今後、日産との情報共有を図るとともに、各市や経済団体、国とも連携して対応を協議していく。状況に応じ、取引先企業向けの特別経営相談窓口の設置や制度融資による資金繰り支援などを検討する。



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