【プレイノ(米テキサス州)時事】トヨタ自動車は米国で電気自動車(EV)の投入を加速する。
EV市場を巡っては、成長が鈍化し、業界を主導してきた米大手テスラの販売も急減。それでも中長期的には需要が伸びていくとみて、製品ラインアップを拡充する。
「3台保有している世帯が1台を、2台持っている世帯のうち半分が1台をEVにすると、新車市場の3割弱がEVになる」。トヨタ米子会社の小川哲男社長兼最高経営責任者(CEO)は、今月開いた新車発表会で、米新車販売に占めるEVの割合が現在の8%弱から3倍以上増えるとの見通しを示した。
トヨタは現状、米国でスポーツ用多目的車(SUV)の「bZ4X」など2車種のEVを展開。今年後半以降は、bZ4Xを改良し名称も「bZ」に変更したモデルに加え、アウトドア向きの「bZウッドランド」、小型SUV「C―HR」の3車種を投入する。高級車部門レクサスでも改良型を含め2車種を発売し、計5車種のEVをそろえる。
さらに、来年から米国で初めて生産するEVも控える。強みを持つハイブリッド車(HV)も含めて電動車の品ぞろえを強化し、「マルチパスウェイ(全方位)」戦略を推進する。
ただ、米EV市場では、テスラがマスクCEOの政治活動の影響で失速したものの、シェアは依然4割超と存在感で他社を圧倒している。トヨタ米子会社の販売担当幹部、デビッド・クリスト氏は、新たに投入するEVは航続距離や充電性能が大きく改善され、「より優位に戦える」と強調した。