決算には「1億5000万円」の記載が… Appleから巨額ロイヤリティーを受け取る日本企業とは? 識者は「大変なブランド名を持っていることに」


アップル社の公式サイトにも記載が

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 名前からして想像がつくかもしれないが、アイホン社が受け取っているのは商標の使用料だ。実際、5月8日に発表された同社の決算短信には〈受取ロイヤリティー〉として1億5000万円が計上されている。一方のアップル社の公式サイトにも最後に〈iPhoneの商標は、アイホン株式会社のライセンスにもとづき使用されています〉と書かれている。どんな事情があったのだろう。

 経済部のデスクが言う。

「アップル社が日本でiPhoneを初めて発売したのは2008年ですが、すでに似た名前のアイホン(英名はAIPHONE)が存在していました。両社が話し合った結果、日本名は『アイフォーン』とし、ロイヤリティーの支払いと、アップル社の日本サイトにだけ、断り書きを入れることになったといわれています」

「永遠に権利を主張できる」

「商標権に触れるかどうかを判断する基準は、三つあります。まず商品の“外観”。次に“観念”。キングと王様は言葉が違っても意味は同じですよね。商標法では、同じ意味合いなら言葉が違ってもダメなのです。3番目が“称呼”。これは発音が同じか近接しているということ。iPhoneの場合は称呼がアイホンと似ていたということでしょう」

 アップル社にしてみればどうってことのないロイヤリティー料かもしれないが、平野氏が続けるのだ。

「特許と違って商標権は保有している側が更新すれば、ほぼ永遠に権利を主張できます。ですから、アイホン社は大変なブランド名を持っていることになります」

 アイホン社に聞くと、

「(受取ロイヤリティーの)具体的な内容は公表しておりません」(広報担当者)

 アップル社の売り上げが約57兆円に対してアイホン社は約633億円。ちょっとオーバーかもしれないが、「小さな巨人」と呼ばせていただこう。

「週刊新潮」2025年5月22日号 掲載

新潮社



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