電車が時速120kmの猛スピードで“暴走”→脱線→マンションに激突して107人死亡…「凄惨な電車事故」で息子を亡くした父親が、JR西日本に抱いた“怒り”


【衝撃写真】ブルーシートには血まみれの人たちが…107人が死亡した“凄惨な電車事故”の事故現場を見る

 乗員乗客107人の死者を出した、JR史上最悪の惨事・福知山線脱線事故から20年。脱線・転覆の10秒間に、いったい何が起きていたのか。生死を分けたものは何だったのか。重傷を負った生存者にふりかかった様々な苦悩と、再生への歩みとは――。

 ここでは、遺族、重傷を負った被害者たち、医療従事者、企業の対応など、多角的な取材を重ねてきたノンフィクション作家・柳田邦男氏の著書 『それでも人生にYesと言うために JR福知山線事故の真因と被害者の20年』 (文藝春秋)より一部を抜粋。JR西日本と遺族が行った「福知山線列車脱線事故の課題検討会」の内容を紹介する。(全3回の2回目/ 3回目に続く )

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事故電車の走行記録の主なポイント

「ダイヤの作り方はわかった。ただ、私たちが知りたいのは、当日の運転状況はどうだったかということ。事故を起こした電車の実際の運転経過ですよ。

 事故を起こした現場に差しかかった時の速度は、時速116キロとされているけれど、事故調の調査では、速度計に異常があって、運転台の速度計の表示は実際の速度より数キロくらい低く出ていたという。となると、時速122キロから124キロくらい出ていたのではないか。

 そうなると、運転士はどんな運転をしていたのか。そこをしっかりと説明してほしい」

 ダイヤ担当の課長が、事故を起こした電車から回収した速度記録計などのデータを基に分析した「当日の当該列車の運行状況について」と題する事故電車の走行経過表を使って説明した。それによると、事故電車の走行記録の主なポイントは、次のようになっていた。

・始発駅の宝塚駅では、ホームに入る前に、信号無視によるATS作動で非常ブレーキが発動するトラブルがあって、出発が定刻より15秒遅れた。

・最初の停車駅の中山寺駅では、ダイヤ通りなら15秒で発車すべきところを、駆け込み乗車があったことなどから発車までに10秒多い25秒かかり、累積で15秒+10秒=25秒の発車遅れとなった。

・次の停車駅の川西池田駅までの区間で、運転士の判断で計画より速度を上げ(制限速度の範囲内)、25秒の遅れのうちの6秒を取り戻した。

・川西池田駅では、停車時間計画の20秒に対し、駆け込み乗客などの影響で発車までに16秒多い36秒かかり、累積で25秒-6秒+16秒=35秒の遅延となった。



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