「来年の新米まで銘柄米の価格は高止まりか高騰」コメ価格も二極化が進む…「2000円備蓄米」の効果


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そんな中、小泉進次郎農水大臣が、高騰したコメ価格を引き下げるための備蓄米放出の新方式を発表。5キロ当たりの店頭価格について「6月上旬にも2000円程度の備蓄米を店頭に並べることができる」と言い切った。

そして「スピード感を持って対応」するべく、備蓄米の売り渡しをこれまでの「競争入札」から「随意契約」に変更し、年間1万トン以上のコメを扱えるネット通販も含めた大手小売業者への直接販売をスタートさせた。

「2000円とは驚きました。小泉大臣には期待半分、心配半分です」

そう話すのは、農業経営学を専門とする宮城大学の大泉一貫名誉教授だ。

もっとも「店頭価格2000円」は、随意契約で売り渡す備蓄米に限られる。それ以前の3回の入札で放出した計31万トンの備蓄米には適用されない。

◆これまでの備蓄米が「JA全農」に売り渡された理由、それは…

これまでの競争入札では、最も高い金額を提示した集荷業者に備蓄米が売り渡されてきた。この入札方式が、備蓄米の価格が高い一因と指摘されている。

3回の競争入札で、備蓄米の9割を落札したのはJA全農(全国農業協同組合連合会)だ。最も高い金額を提示したからだろうが、JA全農の独占状態に「なぜ?」という疑問も湧く。

「JAは昨年、’23年産米の不足と集荷競争の激化により、集荷量が前年より21万トン少なかったんです。そうすると、販売額も手数料も減ります。JAの21万トン分の減収益を補填するために、政府は備蓄米を売り渡したと考えていいと思います。

それから、備蓄米の入札は、原則1年以内に同品質・同量のコメを買い戻すという条件つきでした。政府の買い戻しに対応できるのはJAしかないんです。卸にはできません。

この2つの理由から、備蓄米のほとんどが全農に渡ったわけです。自民党の意向もあったでしょう。農業者は自民党の票田ですから」

JA全農は23日、3月に落札した備蓄米19万9000トンのうち、22日時点で10万3753トンを卸業者に出荷したと発表した。これは落札分全体の52%にあたる。

だが、農水省が20日に公表した調査結果によると、3月に落札された備蓄米計約21万トンのうち、4月27日までに集荷業者から卸売業者を経て小売業者に売り渡された量は、約1万4998トンと約7%に過ぎない。

「備蓄米が目詰まりしているんです。その原因は農政の失敗。

現在、JA全農はコメ流通量の3割ほどしか扱っていません。全農パールライスという精米工場があるので、他の卸とのつき合いも薄い。そのJA全農に売り渡すから目詰まりしたんですよ。

コメの流通過程で精米と袋詰めなどの包装を担うのはコメの卸売業者です。備蓄米の流通を早めようと思うなら、卸団体に売り渡して小売店に流してもらうべきでした。しかし、農水省は逆に卸を悪者にし、昨年の何倍も利潤を上げていると卸たたきをしています」

農水省の発表によると、卸売業者が小売業者に販売する際の経費や利益などの上乗せ金額が、備蓄米の流通段階では通常のコメ流通時に比べて1.6~3.4倍の金額になっているという。

「米価が上がった分、利潤が増えているとも考えられます。農水省の発表が何を意図しているかわからないですが、流通が複雑になっているうえに精米工場は大規模化し、卸のコストは現実に上がっている。こうして卸を悪者にしていることが、目詰まりの原因の一つと言えるかもしれません」



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