経済ジャーナリストで、法政大学MBA兼任教員の浦上早苗さんは、50歳になった2024年10月から世界各地を周る一人旅をしています。各国を巡る中で得た発見をレポートします。
【写真】世界各地の観光地では「外国人料金」を設定しているケースも
■海外観光スポットでは「外国人料金」を導入
石破茂首相が外国人の出国税の見直しについて言及するなど、オーバーツーリズム対策の議論が活発化している。
その有力な選択肢の1つが日本人と外国人、あるいは市民とそれ以外の料金を分ける「二重価格」の導入で、世界遺産の姫路城など複数の施設で採用に向けた動きが出ている。
二重価格については、「外国では当たり前」「日本の世界遺産の入場料は世界的に見ても安すぎる」という論調も見られるが、世界の観光地を巡っていると、オーバーツーリズム対策と二重価格が必ずしも相関しているわけではないことに気づく。
2024年10月から世界一周旅行を続ける筆者は、新興国を中心にさまざまな観光地を巡っている。世界遺産レベルの著名観光スポットは「外国人料金」が設定されていることが珍しくなく、コロナ禍後の値上げも多い。
ほかの場所にはいない固有種が多く生息し、「ガラパゴス化」の語源にもなった南米・エクアドルのガラパゴス諸島は、とにかくお金がかかる観光地だった。
まずキトかグアヤキルの空港で20ドル(約2800円)を払ってTCT(トランジットコントロールカード)を取得しないと、ガラパゴス行きの飛行機に搭乗できない。
現地の観光当局によると観光客の島への出入りを把握するのが目的で、TCTは島を出る際に回収される。
飛行機を降りると外国人は入島税200ドル(大人料金:約3万円)の支払いが待っている(※以下、本文中の価格はすべて大人料金)。
1998年に100ドルの入島税が導入され、その額は26年にわたって維持されていたが、2024年8月に2倍に引き上げられた。筆者がガラパゴス入りしたのは同年10月。直前に値上げの事実を知り、ATMでドルを引き出しながら「数カ月早く行っておけば」と後悔した。
入島税はエクアドル国民が30ドル。アルゼンチン、ボリビアなど南米南部共同市場(メルコスール)加盟国の国民と、コロンビア、 ペルーなどアンデス共同体加盟国の国民は100ドルなので、三重価格になっている。