将棋の藤井聡太名人(竜王・王位・王座・棋王・王将・棋聖=22)に永瀬拓矢九段(32)が挑戦する第83期名人戦7番勝負第5局が29、30の両日、茨城県古河市「ホテル山水」で行われた。第4局に続き、2局連続で千日手よる指し直しの末、先手の藤井が永瀬を下し、対戦成績4勝1敗で3連覇を果たした。名人戦初登場の永瀬は挑戦を退けられた。
藤井との5度目のタイトル戦。過去4度もいずれも敗退している永瀬は藤井からのタイトル初奪取を狙ったが、届かなかった。
2局連続で千日手となる異例の展開。指し直し局は先後を入れ替え、藤井の先手番で始まった。戦型は角換わり。互角のまま難解な局面が続いた。終盤は際どい攻め合いに。永瀬は一時はリードを奪ったが、最後は激しい寄せ合いに競り負けた。
終局後、永瀬は「要所で間違えてしまった」と振り返った。
シリーズ3連敗の後、第4局で千日手指し直しの末、初勝利を挙げた。手応えを感じての第5局だった。
永瀬は7月5日に開幕する王位戦7番勝負でも挑戦権を獲得し、今年の2日制7番勝負は王将戦、名人戦に続いて3棋戦連続でタイトル保持者の藤井に挑戦する。「タイトルに王手をかけないと、ただ出場しているだけになり、楽しみがない。王手をかけることができる状態にしたい」と巻き返しを誓った。