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ロシアのプーチン大統領は29日、安倍晋三元首相の妻・昭恵さんと面会しました。考えられる背景には何があったのでしょうか。モスクワから平山支局長に伝えてもらいます。
【プレイバック・全20回】プーチン大統領 特別インタビュー1(2016年12月掲載)
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――プーチン大統領の背景は何が考えられますか。
はい。プーチン大統領は今回の面会で、ロシアの側は日本との関係改善に前向きだとアピールする狙いがあるとみられます。
プーチン大統領は冷え込んだ日露関係をめぐり、ウクライナ侵攻後に、対ロシア制裁を続ける日本側が一方的に対話の窓を閉じたんだと繰り返し主張してきました。
今回、民間人とはいえ、安倍元首相の妻である昭恵さんと面会したことで、日本政府に対しロシアは対話にオープンなんだと揺さぶりをかけたものとみられます。
――大統領専用車に乗せるなど異例ともいえる好待遇だったワケについては、どうでしょうか?
プーチン大統領は昭恵さんとの面会の中で、安倍元首相の地元・山口県を訪問した際に「家族のような歓迎を受けた」と述べていて、そのお返しを演出したのかもしれません。
安倍元首相の妻という存在の意味合いも大きく、国営メディアは外交の専門家の話として、「安倍元首相は日露両国が問題解決の道を探り協力し合った時代の象徴であり、昭恵さんは面会にうってつけの存在だ」と伝えています。
また「プーチン大統領による安倍昭恵さんの歓迎ぶりは、日露関係の改善の兆しとみなせる」との見方も伝えています。以上、モスクワから中継でした。
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――一方で日本政府はどうみているのか。外務省担当の日本テレビ政治部・鈴木記者に聞きます。昭恵夫人とプーチン大統領の面会はどう受け止められていますか?
日本政府内には非常に冷静な受け止めが広がっています。
林官房長官は会見で「政府として昭恵夫人とやりとりはしていない。コメントする立場にない」と述べました。
今そもそも政府は全ての日本国民にロシアに対しての渡航をやめるよう求めています。
そうした中での昭恵夫人のロシア訪問だったこともあり、多くの政府関係者が「ニュースで初めて知った」「なぜ昭恵さんがプーチン大統領に会っているのか」と驚く人が多かったといいます。
――日本とロシアの外交関係に影響はありそうでしょうか。
日本政府は基本、ウクライナ侵攻を続けるロシアに対しては経済制裁などG7各国と連携して厳しい姿勢をとり続けています。
そうした中での今回の昭恵さんの行動には「ロシアのメッセージに利用されるのは好ましくない」といった声も出ています。
昭恵さんといえば去年12月に突如、アメリカのトランプ大統領とも電撃的に会談しました。プーチン大統領と会談したこともある関係者は「プーチン大統領は、トランプ大統領を意識したのかもしれない」と解説していました。
ただ、昭恵さんとトランプ大統領との会談については、あの時は石破首相がアメリカとのパイプを必死に探る中だったので、日本政府内にはプラスに捉える声もありました。
しかし、今回のプーチン大統領との会談については、今後どういった影響が出るのか多くの政府関係者が冷静にみている状況といえます。