女子大に極右が乱入、韓国で深まる若者の男女対立が行き着く先は 破格の出産金、地方移住、「子どもを産む選択」のいま【産まない国・未来への模索】


【写真】「母です」赤ちゃんを引き取りに来た女、その正体はブローカーだった

 衝突の要因となったのは、梨大の学生会が大統領の尹錫悦(ユンソンニョル)への弾劾を支持すると表明したためだ。尹は昨年12月、革新系野党が国政をまひさせているとして「非常戒厳」を突如宣言した。軍事独裁政権以来の戒厳令は国民に大きな衝撃を与え、尹は弾劾されたが、その是非を巡って社会の亀裂が深まっている。

 とりわけ深刻なのが若者世代を中心とした男女の対立だ。戒厳令の後には、尹に抗議する人たちが国会前に集結し、ペンライトを手にデモを連日展開したが、中心を担ったのは女性だった。

 一方、尹を擁護する保守派のデモには、若い男性の姿が急増した。親中姿勢の野党を「反国家勢力」と断じる尹に共鳴し、反共産主義をむきだしにする。1月には暴徒化した支持者が、尹の逮捕状を出した裁判所を襲撃する事件が起き、逮捕者の半数を20~30代の男性が占めた。

▽政治利用される社会の分断、超少子化につながっているとの声も

 保守派の男性の多くは、革新系の前大統領・文在寅(ムンジェイン)が、若者の生きづらさを招いたとの不満を抱える。「文在寅が男女を仲たがいさせて出生率を下げ、結婚も就職も家を買うことも難しくした」。尹の弾劾審判を担う憲法裁判所前で行われていた保守派の集会で、慶熙大の男子学生(20)は声を荒らげた。

 男女対立の激化が、類を見ない韓国の超少子化に拍車をかけているとの指摘は少なくない。だが、政治家は「国民統合」をうたいながらも、自陣の支持者を結集させるために分断を利用しているのが現状だ。



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