大村崑 86歳の時、妻に誘われてライザップへ。筋トレの効果は思ったより早く表れて…「60年以上つきあってきた息切れとも無縁に」


【写真】93歳の喜劇役者・大村崑さん

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◆歩くのもしんどくて

病気してないからといって元気ハツラツとは限らないんですね。これが、加齢のやっかいなところです。「老い」というヤツが知らん間に悪さをするんですよ。あなたも油断してたら、えらいことになりまっせ。ぼくも気づいたときには、よたよた歩きの「ザ・おじいさん」になってましたから。

まず、体形が情けない。パンパンに膨らんだ腹回りは、1メートル近く。そこから、ほそーい腕と足がにょっきり出て、裸になったら、どこぞの昆虫みたいです。突っ張らかった腹だけはシワひとつないけど腕と足の皮膚はシワシワ。お尻もたるみきってダラ〜リ。

姿勢もひどかったですね。膝は曲がり、腰も曲がって、背中は丸まり、肩と首が前に出て、どこから見ても「よ! 待ってました! 年寄り代表!」と掛け声が飛んでくるような姿かたちです。とにかく足腰が弱ってますから、椅子から立ち上がるのもひと苦労。やっとこさ立ち上がったかと思うと、今度は、足がちゃんと上がらず、床をするようにそろ〜りそろ〜り。歩幅はわずか10センチ。必死にがんばってるつもりでも、ちっとも前に進まないんです。

しかも、片肺だからすぐ息切れするんですよ。道の途中でひと息入れないと苦しくて歩けません。うちの家族ときたら、こんなとき冷たくてねえ。「今日はみんなで飯でも食いに行こう」と外に出るでしょ。妻の瑤子さんも息子たちも、ぼくを置いてスタコラサッサ。信号をさっさと渡って、その次の信号も渡って……。

あ、待って、行かないで。金、払うのぼくやで。



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