フジテレビ系月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』が好評放送中だ。2012年に始まった『最後から二番目の恋』シリーズで、中井貴一演じる長倉和平の一人娘・えりなを演じてきたのは、白本彩奈。2012年のシーズン1では11歳だったえりなも、今や作中で24歳になっている。
そんな長倉えりなという1人のキャラクターを13年間演じてきた白本彩奈にインタビュー。本シリーズへの思いや、本当の父のように慕う中井とのエピソード、自身のキャリアにおけるえりなの存在など、たっぷりと話を聞いた。
長倉えりなは「私にとって、道しるべのような存在」
――11年ぶりに『最後から二番目の恋』が放送されると聞いたときの気持ちを教えてください。
白本彩奈(以下、白本):実は少し前から噂を聞いていたので心待ちにしていたというか、「あ、ようやく始まるんだな」とワクワクしました。
――久しぶりに共演者の皆さんと会ったときの感想は?
白本:私の身長がかなり大きくなったので、見える景色が変わったなと。それまでは、皆さんを見上げていたり、同じくらいの身長だったのが、今になっては皆さんが私を見上げるような形になってしまって。それはキャストの皆さんだけでなく、セットに対してもそうで、「あれ? こんなに小さかったっけ」と思うことが多々あります。
――長倉家の皆さんとは、11年ぶりの再会だったのでしょうか?
白本:いえ、特に(中井)貴一さんとは、日頃からお電話したり、舞台を観に行かせていただいていて。それに私が20歳になったときにサプライズでお祝いしていただきました。
――そうなんですか! それはどんなシチュエーションでのサプライズだったのでしょう?
白本:私、昔から『逃走中』(フジテレビ系)に出たくて、出演が決まったから、打ち合わせがあると言われてお店に向かったんです。そしたら、そこに皆さんがいて。ただ、正直すごく嬉しかったという気持ちと、「あ、『逃走中』には出れないんだ」っていう複雑な気持ちになりました(笑)。もちろん、すごくありがたかったですし、嬉しかったです。
――撮影の際は「11年ぶり」の感覚を思い出すまでに少し時間がかかりましたか? それとも、すんなりと入っていけましたか?
白本:皆さんとお話しすることもあるんですけど、「どうしてこんなにすぐに戻ってこれるんだろうね」と驚くくらいスムーズに入っていけました。クランクインする前は、えりなとしては11歳から24歳に、私自身も10歳から22歳になって、体も心も考え方もあまりにも変わりすぎているので、「皆さんよりもえりなという人間を1から積み上げないといけないな」という感覚が強くありました。なので、最初は探り探りで現場にいたのですが、数日、数時間もかからず、長倉家の一員に戻れました。
――前作『続・最後から二番目の恋』では中学生だったえりなが、今作では1人の自立した女性になっているのも大変感慨深いです。役作りはどのようにされていますか?
白本:前作に関しては、えりな同様、私も思春期だったので、役作りをせずともリアルな感情で演じられていました。今回に関しても、えりなと同じように成長してきたので、成長したままの自分で、ありのままで現場には立っています。
――えりなは美大を卒業後、実家に戻り、海ゴミアートクリエイターになっています。
白本:実は前作の時に、えりなが「いかにも小学生が描きそうな絵を描く子が嫌だ」のようなセリフを言っていて、今となっては伏線になっているんですよね。当時から、アートに対して、自分の意見があったり、こだわりがあったと。その話を聞いた時に、すごく納得感のある設定だなと思いました。
――今シリーズでのえりなといえば、西垣匠さん演じる木村優斗との交友も気になるところです。
白本:西垣さんとは、海のシーンでご一緒することが多かったので、初対面の日から寒くて風もある過酷な状況を乗り越えた仲間だと思っています。そんな状況ということもあって、打ち解けるのは早かったのかなと個人的には思いますし、えりなにとっても優斗とのシーンは、息抜きになるようなシーンだなと感じています。
――13年間、1人のキャラクターを演じる経験はなかなかないと思います。白本さんにとって、えりなはどういう存在でしょうか?
白本:私にとって、道しるべのような存在だと思っています。作品に取り組んでいる間はもちろん、作品が終わっても、自分のあるべき、行くべき道をずっと示してくれているような存在だなと。きっと『最後から二番目の恋』とえりなに出会ったことが、そうさせているんだとは思うんですけど、何か迷った時とか、辞めたいとか、やりたいという時に、最後に現れてくれる道しるべのような存在です。
――具体的に、今までどういうときに道しるべになってくれたなという感覚がありますか?
白本:プライベートでもそうですし、どういう俳優になりたいかとか、この作品にどうやって向き合えばいいかと悩んだ際に、皆さんのこの作品に対する熱量を思い出したりしてきました。そうそうたるメンバーを目の前にして、吸収したことが多かったので。