(CNN) ロシアとウクライナの代表団は2日、トルコ・イスタンブールで2度目の直接和平協議のため会合を開いた。前日にはウクライナが、核搭載可能なロシアの爆撃機に対しドローン(無人機)による予想外の攻撃を実施していた。ウクライナのゼレンスキー大統領は、1年半かけてこの作戦を準備したと述べた。
協議は遅れて開始され、わずか1時間余りで終了した。双方は新たな捕虜交換に向けて取り組むことで合意したものの、両代表団の声明からは、特に停戦問題において、立場の溝を埋める上でほとんど成果が上がっていないことが示唆された。
先月イスタンブールで行われた最初の協議の後、双方は完全な停戦と、場合によっては恒久的な和平に向けた条件を共有することで合意していた。
ロシア国営メディアは、今回ロシアが和平覚書の中で停戦に関する二つの「選択肢」を提示したと報じた。
第一の選択肢でロシアは、ウクライナ本土のドネツク、ルハンスク、ヘルソン、ザポリージャの各州からウクライナ軍の完全撤退を求めている。RIAノーボスチ通信が報じた。ロシアは2022年の侵攻でこれらの地域を併合したが、その後も完全には制圧できていない。
第二の選択肢は「パッケージ取引」と呼ばれ、ウクライナ軍の動員解除を要求。また同国への外国からの軍事援助はすべて停止されるとする。援助には諜報(ちょうほう)活動も含まれる。RIAノーボスチ通信が公表した覚書の要約で明らかになった。
覚書には、ウクライナは軍の展開と動員を禁じられる他、戒厳令は解除され、解除後100日以内に選挙が実施される必要があるとしている。
ウクライナがこれらの選択肢のうち一つだけを選択できるのか、それとも両方に同意しなければならないのかは不明。
この極端な要求は、22年にトルコで開催された三者協議でロシアが提示した条件をさらに拡大したものとなっている。
ウクライナはこれまで、和平と引き換えに領土割譲を求めるロシアの提案を拒否してきた。
ゼレンスキー氏はロシアが覚書を事前に共有しなかったことを批判した。
2回目の協議も大きな成果を生むことはなかった。ウクライナ代表団を率いるウメロウ国防相もゼレンスキー氏と同様、2日の会談前にロシア側が覚書を共有しなかったことを批判した。
ロシア代表団トップのウラジーミル・メジンスキー氏は、ロシアが協議中にウクライナに対して「非常に詳細かつ十分に練られた」文書を提供したと指摘。ウクライナ側が今後これを精査すると述べた。
ウメロウ氏は、ウクライナの30日間の無条件停戦要求は「3カ月間変わっていない」と改めて強調したが、メジンスキー氏は、ロシアが提案したのは格段に限定的な停戦だと説明。具体的には前線の「特定の地域」で2、3日間続く程度のものだとした。
これに対しゼレンスキー氏は、ロシアの提案は「停戦ではない」と主張した。