イラン核施設被害「予想より軽微」 米通信傍受・IAEAも言及

アメリカの有力紙「ワシントン・ポスト」は、アメリカ軍の攻撃によるイランの核施設被害が、イラン政府高官らの間でも予想よりも軽微だったとの見方が示されていた通信をアメリカが傍受したと報じました。この報道は、攻撃の実際の効果に関する疑問を提起しています。

29日付のワシントン・ポスト電子版によると、傍受された通信には、攻撃による核施設の被害が予想より壊滅的でも広範囲でもなかったことや、その理由についての推測が含まれていました。これは機密情報に詳しい関係者4人の話として伝えられています。イランの高官らは、攻撃の規模や精度について内部で評価を行っていた模様です。

イラン核施設への米軍攻撃後のイメージ。今回の報道された核施設被害の程度に関する議論の文脈で使用。イラン核施設への米軍攻撃後のイメージ。今回の報道された核施設被害の程度に関する議論の文脈で使用。

IAEA(国際原子力機関)のグロッシ事務局長も29日放送のCBSテレビのインタビューで、イランの核施設は「深刻な損害」を受けたものの、「完全な損害」ではないと述べ、「すべてが消滅し、何も残っていないと主張することはできない」と発言しました。これは、施設が完全に破壊されたわけではないという見方を示すものです。

グロッシ事務局長の発言は、攻撃でイランの核開発計画が数カ月遅れただけだとする一部の情報機関の分析を裏付けるものと受け止められています。一方、トランプ政権はこの分析を「信頼性が低い」としており、攻撃の効果について異なる評価が存在していることがわかります。

しかし、米主要メディアでは、「核施設を完全に破壊した」とするトランプ大統領の主張を否定する報道が相次いでいます。ワシントン・ポストの今回の傍受に関する報道も、この流れを裏付けるものと言えます。

これらの報道IAEAの見解は、アメリカ軍によるイラン核施設への攻撃の実際の被害規模について、公式発表とは異なる見方を示唆しています。攻撃の長期的な影響や、イランの核開発の行方については、引き続き注視が必要です。

参照元: ワシントン・ポスト、CBSニュース、テレビ朝日